架空国家を作ろう　第1.1世界線

シウダード・デ・メヒコ連邦市は、第四インターナショナル連邦共和国の連邦構成主体の1つ。第四インターナショナル連邦共和国の首都にして最大都市であり、第四インターナショナル連邦共和国の政治・経済・学術・文化の中心地である。単一の都市でありながら連邦構成主体となっており、メヒコ・オクシデンタル州、メヒコ・オリエンタル州と共に、首都特別管区を構成する。人口は約1250万人。周辺のメヒコ・オクシデンタル州及びメヒコ・オリエンタル州のほぼ全域がシウダード・デ・メヒコ都市圏(いわゆる「グラン・シウダード・デ・メヒコ」)に含まれており、都市圏人口はおよそ3500万人に達する。かつてはアステカ王国の首都テノチティトランが置かれており、現在でも様々な地名や史跡にその名残が見られる。

連邦市の市域は、北はグアダルーペ山、西はアフスコ山、南はチチナウツィン山、東はトラロック山など、四方を山に囲まれた盆地内に位置していて、標高は2000m付近とかなり高い。11〜4月は乾季、5〜10月は雨期となっており、4月、5月の気温が最も高く、12月、1月の気温が最も低い。ただし、緯度が低いことや標高が高いこともあり気温の年較差は小さく、最も暑い月の平均気温は27℃前後、最も寒い月の平均気温は20℃前後となっている。市街地中心部は最も歴史が古く、スペイン植民地時代からの歴史的建造物が今もその姿をとどめている。20世紀以降の都市の経済的発展と人口増に伴い、市街地の範囲も拡大してきた。かつて盆地の東部の大部分をテスココ湖が占めていたが、大規模な干拓によって湖はほぼ消滅し、市街地へと変わった。ただし、干拓によって土地が造成された市街地東部は地盤が軟弱であることが指摘されており、1985年のミチョアカン州大地震では、震源が300km以上離れていたにも関わらず、地震による長周期振動の影響で市街地東部の地盤脆弱地域の建物が次々と倒壊し、多数の死傷者と多額の経済的被害が生じた。このため市街地東部の開発には規制が行われ、1990年以降、市街地の西部や南部など地盤が比較的強固な山地の開発と市街地化が進んだ。しかし2000年代に入りさらなる人口増で土地が不足すると、地盤の改良などを条件に規制が緩和され、再び盆地東部の市街地化が進行した。

市街地には複数の行政区が設定されており、1区から区までの区が存在する。

1区は市街地中心部に位置し、セントロ地区、ブエナビスタ地区、クアウテモック地区からなる。
セントロ地区は、様々な歴史的建造物と官公庁街が集中する地区であり、シウダード・デ・メヒコ及び第四インターナショナル連邦共和国の政治的中心地である。赤宮殿(正式名称は独立・革命記念共和国宮殿、大統領府、連邦共和国人民委員会議、第四インターナショナル本部が設置されている)、連邦共和国人民代議院議事堂、国家最高司法裁判所と、連邦共和国の三権の最高機関すべてが位置する他、各人民委員部の本庁舎の大半が設置されている。また、憲法広場(ソカロ)、シウダード・デ・メヒコ・メトロポリタン大聖堂、テンプロ・マヨール大神殿という、アステカ王国時代、ヌエバ・エスパーニャ副王領時代、独立以降の時代の3つの主要な時代を象徴する建物が隣り合って存在している。
セントロ地区の北西に隣接するブエナビスタ地区及び西に隣接するクアウテモック地区は、シウダード・デ・メヒコの経済の中心地である。両地区の境界となっているレフォルマ通り沿いには、超高層建築が立ち並び、無数の企業が本社を置く連邦共和国最大のオフィス街となっている。クアウテモック地区は特に観光客向けの商業地区となっていて、セントロ地区との境界周辺にはソナ・ロサと呼ばれる最大の繁華街が存在する他、コンデサやローマ周辺は、独立以降のアール・ヌーボー様式の美しい街並みを残しつつ、連邦共和国のサブカルチャーの中心地として各種文化施設が立ち並ぶ。ブエナビスタ地区は、シウダード・デ・メヒコ中央駅が位置するシウダード・デ・メヒコの陸の玄関口であり、グアダラハラやモンテレイといった各主要都市行きの高速鉄道が発着し、駅周辺には百貨店のような大型商業施設が複数立地している。

2区は1区の南に隣接する地区で、タクバヤ地区、インスルヘンテス地区、トラルパン地区からなる。
タクバヤ地区は、2区の北西部に位置する商業・文教地区である。古くは郊外の田園地帯として富裕層の大邸宅や別荘が林立する地区であったが、メキシコシティの拡大と共にスプロール化の波に飲み込まれ、さらにインフラの老朽化により20世紀を通じて不良住宅地化が進んだ。しかし、メキシコシティの中心部への交通の便が良く、都心のレフォルマ通りに繋がるメキシコシティの東西を横断する道路と、新たに建設されたメキシコシティの環状道路が交差する交通の要衝に位置することから、80年代以降、シウダード・デ・メヒコの経済発展に伴い再開発が進み、ジェントリフィケーション現象が生じた。現在では、大規模な再開発により一部の文化的・歴史的に重要な建造物を除いて老朽化した住宅の多くが取り壊されており、交通の便の良さからタクバヤ駅を中心に繁華街や教育機関が立地し、また高所得者層向けの大型分譲マンションの建設が進んだ。
インスルヘンテス地区とトラルパン地区は、それぞれインスルヘンテス通りとトラルパン通り沿いに形成された市街地であり、タクバヤ地区に続いて、共に古くから郊外の高級住宅地として開発されてきた。1940年代には市民向けのスポーツ施設が建設され、1960年代にはオリンピック開催に合わせて高層ホテル街が整備された。しかし、タクバヤ地区同様、インフラの老朽化の進行により、70年代から80年代にかけて不良住宅地化と治安の悪化が進んだ。90年代以降、シウダード・デ・メヒコの経済発展に伴い中高所得層が増加すると、そうした中高所得層向けにこの地区の再開発が進められ、ジェントリフィケーション現象が生じた。特に、インスルヘンテス通りやトラルパン通りのような主要街路沿いには、中高所得層を対象とした各種教育機関やショッピングモール等の商業施設が集積した他、それ以外の市街地でも、景観を保ちながら不良住宅地の一掃と美しい街並みの再建が進められ、中高所得層向けの住宅街に生まれ変わった。

3区は1区の西に隣接する地区で、ポランコ地区、トラコパン地区、チャプルテペク地区からなる。
ポランコ地区は1920年代から開発が進んだ高級住宅街である。当初の住宅街は現在のポランコ地区の南部に位置していた。特に1区のレフォルマ通り沿いやセントロ地区への交通の便が良好であったことから、1950年代より政府職員向けの邸宅が多数建設され、これにより、2区と異なり、20世紀を通して高級住宅地としての地位を保った。かつては政府関係者でなければ地区に立ち入ることができなかったが、1985年の地震で住居を失った市民向けに仮設住宅が設置されたことを契機に、民間人の居住が認められるようになった。シウダード・デ・メヒコの拡大に伴い、既存の高級住宅街の北部に新たに大型分譲マンションが多数建設され、現在も市街地中心部に通勤する中高所得層が多数居住している。
トラコパン地区はポランコ地区の北に隣接する地区である。工業地区である4区との境に位置し、かつては、ポランコ地区の居住者ほど裕福ではないが、4区の労働者よりも財産のある中所得者層が居住していた。しかし20世紀後半には4区の工業化が進むにつれて大気汚染などの悪影響から中所得者層の大部分が他の地区へ移住、不良住宅地化が進んだ。現在は、ポランコ北部に新たに多数の団地が造成されたことや、隣接する1区のブエナビスタ地区が商業的に繁栄していること、4区の工場が郊外に移転し公害問題が解消された上、工場跡地が企業の本社や研究開発拠点となっていることを背景として、集合住宅や商業施設の建設が進んでいる。
チャプルテペク地区はポランコ地区の南に隣接する地区である。地区のかなりの部分をシウダード・デ・メヒコ市域内最大の公園であるチャプルテペク公園が占めており、数々の歴史的建造物、レジャー施設、博物館や美術館を備えており、国内外から観光客が多く訪れる。

4区は1区の北西に隣接する地区で、バイェホ地区、パンタコ地区、アスカポツァルコ地区からなる。
バイェホ地区は4区の東部に位置する工業地区で、1930年代より工場が建設された。特に1950年代以降は国家主導で重工業化のプロジェクトが推進され、金属や化学の工場が立ち並んだ。これにより地区の大部分は工場及び鉄道駅が占めた。しかしこうした工場群は環境汚染について何の対策も施されていなかったため、深刻な環境問題を引き起こした。土壌汚染と水質汚濁は飲用水の劣化を通じて住民の健康をむしばみ、大気汚染により呼吸器疾患が激増、過剰な地下水のくみ上げにより地盤沈下も進行しインフラが破壊された。1985年の地震以降の新しい都市計画において、これまで議論がタブーとされていた4区の工業による環境汚染問題がようやく解決すべき問題と認識された。現在では、環境規制の強化や、政府の奨励及び4区の地価高騰による工場の郊外移転を要因としてこうした問題は解決されており、工場跡地には企業の研究開発拠点や各種公共施設が設置されている。
パンタコ地区はバイェホ地区とアスカポツァルコ地区の中間に位置する地区で、バイェホ地区に立ち並ぶ工場を支えるための鉄道駅と貨物置場、物流センターが建設されていた地区である。2000年代以降、バイェホ地区から郊外への工場移転が相次ぐと、貨物の取り扱い拠点は不要となり、パンタコの鉄道駅は旅客専用となった。都心部へのアクセスの良さから、かつての貨物置場周辺には繁華街が立地している。
アスカポツァルコ地区は4区の西部に位置する住宅地区で、1930年代よりバイェホ地区の工場労働者の居住地を確保するために集合住宅が建設された。1950年代以降に、ソ連から当時の最新技術だったコンクリートによるプレハブ工法を導入して集合住宅が多数建設された。しかしこうした集合住宅は部屋の狭さや設備の不十分さから居住性が悪く、大多数の市民から不評だった上に、地震のないヨーロッパ・ロシアにおける設計をそのまま導入したことから、1985年の大地震で多数の建物が液状化と長周期地震動により壊滅的被害を受けた。現在では、より新しい耐震基準に準拠し、また住環境も改善された集合住宅へと建て替えが進んでおり、中所得者層が多く居住する地区となっている。

5区は1区の北に隣接する地区で、リンダビスタ地区、グアダルーペ地区、サン・フアン・デ・アラゴン地区からなる。
リンダビスタ地区は5区の西部に位置する地区で、多くの教育機関が立地する文教地区である。4区のバイェホ地区に隣接することから1930年代にシウダード・デ・メヒコ工科大学が立地して以来、シウダード・デ・メヒコ商業大学、シウダード・デ・メヒコ経済大学、シウダード・デ・メヒコ医科大学など、数多くの単科大学が立地する。大学の周辺には多くの学生寮があり、大学と学生寮が集積する学生街が形成されている。
グアダルーペ地区は5区の中部に位置する地区である。地区の北部には、グアダルーペの聖母の伝説で知られるエル・テペヤックの丘をはじめ、サンタ・マリア・グアダルーペ大聖堂などカトリックの重要な宗教施設が位置し、国内外から観光客が多く訪れる。地区の南部では、地下鉄駅周辺に小規模な繁華街が形成されている他は、都心のベッドタウンとして閑静な住宅街が残されている。
サン・フアン・デ・アラゴン地区は5区の東部に位置する地区である。地区の東部には、サン・フアン・デ・アラゴン公園、サン・フアン・デ・アラゴン動物園、サン・フアン・デ・アラゴン植物園が立地し、3区のチャプルテペク公園と並び、シウダード・デ・メヒコ内で珍しい緑地が広がる。エカテペックからパチュカへと向かう首都圏鉄道の北東回廊が地区内を貫いており、その駅周辺には小規模な繁華街が形成されているが、その他には、都心のベッドタウンとして閑静な住宅街が残されている。