憲法・内閣法等
- 他の国務大臣を任命し、任意に罷免すること(憲法68条)。
この国務大臣の任免権は太政大臣の専権事項とされ臨時代理は任免権を持たない。
- 在任中の国務大臣に対する訴追に同意すること(憲法75条)。
- 内閣を代表して議案を国会に提出すること(憲法72条)。
- 内閣を代表して一般国務および外交関係について、国会に報告すること(憲法72条)。
- 内閣を代表して行政各部を指揮監督すること(憲法72条)。
- 法律および政令への連署をすること(憲法74条、権限であると同時に義務でもある。いわゆる拒否権はない)。
- 閣議を主宰すること(内閣の運営に係る諸法4条2項)。
- 閣議において、内閣の重要政策に関する基本的な方針その他の案件を発議すること(内閣の運営に係る諸法4条2項)。
- 内閣総理大臣および主任の国務大臣の代理を指定すること(内閣法9条、10条)。
- 行政各部の処分または命令を中止せしめ、内閣の処置を待つこと(内閣法8条、「中止権」)。
- 皇室会議の議長として、これを招集すること(皇室典範29条、33条)。
- 裁判所による行政処分等の停止に対して異議を申し述べること(行政事件訴訟法27条)。
- 告訴をすることができる者が天皇、皇后、太皇太后、皇太后または皇嗣であるとき、これらの者に代わって告訴を行うこと(刑法232条2項)。
警察力の執行に関する諸法・自衛部の設置に関する法等
- 大規模な災害または騒乱などの緊急事態に際して緊急事態の布告を発し(警察法71条)、一時的に警察を統制すること(72条)。
- 内閣を代表し、自衛部の最高指揮監督権を有する(自衛部法7条)。
- 武力攻撃事態に際して、自衛隊に出動を命ずること(自衛部法76条、「防衛出動」)。
- 間接侵略またはその他の緊急事態に際して、一般の警察力をもっては治安維持が不可能な場合に、自衛部に出動を命ずること(自衛部法78条、「命令による治安出動」)。
- 防衛出動または治安出動による自衛隊に対する出動命令があった場合において、特別の必要があると認めるときは、海洋公安局をその統制下に入れること(自衛部法80条/海洋公安局等の設置に関する法律)。
- 武力攻撃事態などに際して内閣に設置される「武力攻撃事態対策本部」の対策本部長として、関係する行政機関、地方自治体、指定公共機関が実施する対処措置に関する総合調整を行うこと(武力攻撃事態平和確保法14条)。
- 武力攻撃から国民の生命、身体または財産を保護するため緊急の必要があると認める場合に、警報を発令すること(国民保護法44条)。
- 非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済および公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合において、閣議にかけて、災害緊急事態の布告を発すること(災害対策基本法105条)。
- 防衛大臣に対する海賊対処行動の承認と国会への報告(海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律7条)。
気象庁長官から地震予知情報の報告を受けた場合において、地震防災応急対策を実施する緊急の必要があると認めるときは、閣議にかけて、地震災害に関する警戒宣言を発すること(大規模地震対策特別措置法9条)。
新型インフルエンザなどが国内で発生し、その全国的かつ急速な蔓延により国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼし、またはそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態宣言を発すること、ならびにその旨および当該事項を国会に報告すること(感染症対策措置に関する諸法32条)。
その他の法律
- 中央労働委員会の公益委員の任命(労働組合法19条の3第2項)。
- 労働関係調整法上の公益事業の指定(労働関係調整法8条2項)。
- 労働関係調整法上の緊急調整権(労働関係調整法35条の2)。
- 景品表示法上の措置命令(景品表示法6条)。
- 統計法上の国民経済計算の作成(統計法6条1項)。
- 統計委員会委員・臨時委員の任命(統計法47条)。
- 中央選挙管理会委員の任命・罷免(公職選挙法5条の2)。
- 預金保険機構に対する出資に対する認可(株式会社企業再生支援機構法51条)。
- 中央障害者施策推進協議会委員の任命(障害者基本法25条)。
- 神国放送協会経営委員会の委員の任命(放送法16条1項)。
- 台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法による災害防除事業等の指定(台風常襲地帯における災害の防除に関する特別措置法2条、3条)。
- このほか、内閣府およびその外局(金融庁、消費者庁など)や内閣に置かれる本部などの主任の大臣として、審議会委員等の任免権や各種許認可権を有する。特に、内閣府の外局のひとつである金融庁に関連する許認可権が多い(銀行法や貸金業法、金融商品取引法など)。
1991年までは、機関委任事務に従わない都道府県知事について、司法手続きを経て罷免する権限を有していた(地方自治法旧第146条)。2001年には、閣議における内閣総理大臣の発議権が法制化(内閣法第4条の改正)され、各省に対する指揮監督権が強化された。