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シウダード・トロツキー級原子力潜水艦
要目
全長150m
全幅14.4m
排水量10000t(水上)
16000t(水中)
速力32ノット(水中)
16ノット(水上)
乗員100名
搭載兵装533mm魚雷発射管10基
多目的垂直発射装置8モジュール
機関方式原子力ターボ・エレクトリック方式

概要

シウダード・トロツキー級原子力潜水艦は、第四インターナショナル連邦共和国人民解放軍海軍が運用している原子力潜水艦である。2004年より「国産第5世代原子力潜水艦」として開発が開始され、2012年に1番艦の建造が開始、2015年に「シウダード・トロツキー」として進水、2016年より就役している。現在同型艦6隻が運用中で、将来的に12隻が運用される計画となっている。

開発経緯

第四インターナショナル連邦共和国は1950年代後半より原子力潜水艦の導入に着手した。1962年、ソ連から輸入したフォックストロット級潜水艦を元に改良を加えた船体に、陸上用加圧水型原子炉という名目でソ連から輸入したVM型原子炉を搭載した実験的原子力潜水艦「インターナショナル」が建造された。同艦において原子力潜水艦の運用経験を積んだ第四インターナショナル連邦共和国では、原子力潜水艦の国産化を目指して原子炉のコピー生産を行った。1968年には、水上航行性能を重視していた従来型船型を改め、水中航行性能を重視し涙滴型船型を採用、出力が30%向上した改良型のVM型原子炉を搭載した「国産第1世代原子力潜水艦」ことベラクルス級が就役した。

ベラクルス級は騒音が大きく、対潜能力の向上したアメリカ海軍に捕捉撃滅される危険性が高いとみなされたことから、1974年より、船体表面にゴム製吸音材を配置、セイルやアンテナ取り付け部には吸音塗料を塗布、推進方式を原子力ターボ・エレクトリック方式に変更して変速機を廃止、スクリューを二重反転式・一軸式に変更、機関室を簡素化して浮き台に搭載するなど各種改良を施した「国産第2世代原子力潜水艦」ことモンテレイ級が建造された。ベラクルス級が周波数帯にもよるが150~170デシベルもの騒音を発していたのに対し、モンテレイ級では130~150デシベルまで静粛化された。

70年代中盤に、非常に優秀な性能を持つ原子力潜水艦であるロサンゼルス級が大量配備され始め、またパッシブ対潜戦ユニットが充実すると、モンテレイ級では対抗することが難しいとして新型原子力潜水艦の開発が要求された。そこで、7翼のハイスキュード・プロペラを採用して低速回転でも十分な推進能力を得られるように改良、指揮所や兵装区画について防振サスペンションおよび3層のゴムからなる吸音タイルからなる防振装置を介して内殻に組み込み、さらに原子炉に低速航行時には自然循環により冷却ポンプを用いずに炉心を冷却可能な新型国産原子炉を採用するなどした「国産第3世代原子力潜水艦」ことエルモシージョ級が建造された。エルモシージョ級の水中騒音は110~130デシベルにまで低下した。これは、アメリカのロサンゼルス級に匹敵するほどの静粛性能であった。

しかし90年代に入り、アメリカでは超高性能原子力潜水艦であるシーウルフ級の配備が始まろうとしていた。加えて、対潜戦闘にも、対空戦闘におけるイージスシステムのような索敵から攻撃までを一体とした交戦システムが導入され、これにより水上艦の対潜戦闘における戦闘効率は大幅に向上した。このような環境下においても高い生存性能を発揮できることを目的に、90年代後半よりシーウルフ級に匹敵する原子力潜水艦として「国産第4世代原子力潜水艦」ことグアダラハラ級が配備された。グアダラハラ級の水中騒音は100デシベル程度とされており、さらに静粛性が高まった。

さて、2000年代を迎えた第四インターナショナル連邦共和国では、カリブ海の聖域化およびカリブ海周辺における軍事作戦に対する接近拒否・領域拒否能力の獲得を目指して海軍力と空軍力を増強する方針を打ち出した。これまでの第四インターナショナル連邦共和国の攻撃型原子力潜水艦は、敵シーレーンに対するゲリラ的攻撃による攪乱や、カリブ海に侵入した敵潜水艦や敵水上艦への要撃を主任務としていたが、次世代の攻撃型潜水艦には、接近拒否・領域拒否能力の獲得に向けて、敵空母部隊に対し積極的に攻撃できる能力が必要とされた。そこで開発されたのが本級である。

能力

兵装

魚雷発射管
シウダード・トロツキー級は、艦首に533mm魚雷発射管を5基ずつ、計10基集中配備しており、同時に多数の兵装を発射することが可能となっている。533mm魚雷発射管からは、T89長魚雷およびその改良型にあたるT16長魚雷の他、MSB-88対艦ミサイルおよびその後継にあたるMSB-12対艦ミサイル、MSB-90対艦巡航ミサイルおよびその後継にあたるMSB-09対艦巡航ミサイル、MSS-91対潜ミサイルおよびその後継にあたるMSS-07対潜ミサイルなどを発射することができる他、各種機雷を敷設することも可能である。これらの武装は、魚雷発射管内に10基、船内弾薬庫に50基の計60基を搭載することができる。
垂直発射装置
シウダード・トロツキー級は前述したように、接近拒否・領域拒否能力の獲得に向けて敵空母部隊に対し積極的に攻撃できる能力が必要とされたため、セイル後方に大容量の垂直発射装置モジュールを4本ずつ2列に分けて計8基装備している。各モジュールは幅3m四方、高さ13.5mとなっており、主に亜音速、超音速、極超音速の巡航ミサイル、または小型の弾道ミサイルなどを搭載することとなっている。特筆すべきミサイルとしては、本級への搭載を考慮して設計された新型潜水艦発射型弾道ミサイルの「MBLA-09」およびその改良型の極超音速滑空ミサイル「MLA-VP-18」がある。このミサイルは垂直発射装置モジュール1基につき4発が搭載可能なサイズでありながら、12000~13500kmという極めて長大な射程を有するのが特徴で、威力可変型の核弾頭を搭載し、第四インターナショナル連邦共和国が核兵器に期待している2つの役割、エスカレーション抑止と相互確証破壊の両面に寄与する。詳細は後述する。
本級で使用される武装一覧
T89長魚雷
全長6.3m
直径533mm
重量1800kg
射程50km(40ノット)
40km(55ノット)
最大深度900m
弾頭高性能炸薬300kg
推進方式オットー燃料II使用斜盤機関
誘導方式アクティブ/パッシブ音響誘導
有線誘導

詳細


T16長魚雷
全長6.3m
直径533mm
重量1800kg
射程75km(40ノット)
60km(55ノット)
最大深度1000m以上
弾頭高性能炸薬300kg
推進方式閉サイクル蒸気タービン
誘導方式アクティブ/パッシブ音響画像誘導
有線誘導

詳細


MSB-88対艦ミサイル
全長4.2m
重量600kg
射程150km(MSB-88、シースキミング時)
250km(MSB-88AおよびMSB-88B、シースキミング時)
飛翔速度マッハ0.9
弾頭高性能炸薬150kg
推進方式固体燃料ロケットブースター+ターボファンエンジン
誘導方式中間誘導:慣性航法+電波地形等高線照合+データリンク
終末誘導:アクティブレーダー誘導

詳細


MSB-12対艦ミサイル
全長4.5m
重量500kg
射程250km(MSB-12、シースキミング時)
飛翔速度マッハ0.9
弾頭高性能炸薬125kg
推進方式固体燃料ロケットブースター+ターボファンエンジン
誘導方式中間誘導:慣性航法+電波地形等高線照合+衛星航法+データリンク
終末誘導:アクティブレーダー誘導+パッシブレーダー誘導+赤外線画像誘導

詳細


MSB-90対艦巡航ミサイル
全長6.4m
重量1500kg
射程500km(MSB-90、シースキミング時)
1500km(MSB-90、最大射程)
900km(MSB-90A、シースキミング時)
2700km(MSB-90A、最大射程)
飛翔速度マッハ0.9
弾頭高性能炸薬300kg
推進方式固体燃料ロケットブースター+ターボファンエンジン
誘導方式中間誘導:慣性航法+電波地形等高線照合+データリンク(MSB-90)
     慣性航法+電波地形等高線照合+衛星航法+データリンク(MSB-90A)
終末誘導:アクティブレーダー誘導+パッシブレーダー誘導(MSB-90)
     アクティブレーダー誘導+パッシブレーダー誘導+赤外線画像誘導

詳細


MSB-09対艦巡航ミサイル
全長6.4m
重量1200kg
射程1200km(MSB-09、シースキミング時)
3500km(MSB-09、最大射程)
800km(MSB-09A、シースキミング時)
2500km(MSB-09A、最大射程)
飛翔速度マッハ0.9
マッハ2.5(MSB-09A、終末段階)
弾頭高性能炸薬300kg
高性能炸薬100kg(MSB-09A)
推進方式固体燃料ロケットブースター+ターボファンエンジン(MSB-09)
固体燃料ロケットブースター+ターボファンエンジン+固体燃料ロケットブースター(MSB-09A)
誘導方式中間誘導:慣性航法+電波地形等高線照合+衛星航法+データリンク
終末誘導:アクティブレーダー誘導+パッシブレーダー誘導+赤外線画像誘導

詳細


MSB-11超音速対艦ミサイル
全長6.3m
重量1500kg
射程160km(シースキミング時)
400km(最大射程)
飛翔速度マッハ3~3.5(高高度)
マッハ1.8~2.2(海面付近)
弾頭高性能炸薬150kg
推進方式インテグラルラムジェット推進
誘導方式中間誘導:慣性航法+衛星航法+データリンク
終末誘導:アクティブレーダー誘導+パッシブレーダー誘導

詳細


MSB-06超音速対艦巡航ミサイル
全長8.4m
重量3000kg
射程300km(MSB-06、シースキミング時)
700km(MSB-06、最大射程)
400km(MSB-06A、シースキミング時)
900km(MSB-06A、最大射程)
飛翔速度マッハ3~3.5(高高度)
マッハ1.8~2.2(海面付近)
弾頭高性能炸薬300kg
推進方式インテグラルラムジェット推進
誘導方式中間誘導:慣性航法+衛星航法+データリンク
終末誘導:アクティブレーダー誘導+パッシブレーダー誘導

詳細


MSB-21極超音速対艦ミサイル
全長6.3m
重量1500kg
射程400km(MSB-21、マッハ6時)
270km(MSB-21、マッハ8時)
飛翔速度マッハ6~8(高高度)
弾頭高性能炸薬100kg
推進方式スクラムジェット推進
誘導方式中間誘導:慣性航法+衛星航法+データリンク
終末誘導:アクティブレーダー誘導+パッシブレーダー誘導

詳細


MSB-18極超音速対艦巡航ミサイル
全長8.4m
重量3000kg
射程800km(MSB-18、マッハ6時)
540km(MSB-18、マッハ8時)
飛翔速度マッハ6~8(高高度)
弾頭高性能炸薬250kg
推進方式スクラムジェット推進
誘導方式中間誘導:慣性航法+衛星航法+データリンク
終末誘導:アクティブレーダー誘導+パッシブレーダー誘導

詳細


MSS-98対潜ミサイル
全長6.4m
重量1400kg
射程70km
飛翔速度マッハ1.5
弾頭324mm短魚雷T97
推進方式単段式固体燃料ロケットブースター
誘導方式中間誘導:慣性航法+データリンク
終末誘導:搭載魚雷の音響センサー

詳細


MSS-07対潜ミサイル
全長6.4m
重量1500kg
射程130km
飛翔速度マッハ2
弾頭威力可変型核弾頭(0.5~350kt)または324mm短魚雷T97または324mm短魚雷T12
推進方式単段式固体燃料ロケットブースター
誘導方式中間誘導:慣性航法+衛星航法
終末誘導:搭載魚雷の音響センサー

詳細

MBLA-09大陸間弾道ミサイル
全長12.5m
重量14000kg
射程12000km
飛翔速度マッハ20以上
弾頭威力可変型核弾頭(0.5~350kt)
推進方式3段式固体燃料ロケットブースター
誘導方式中間誘導:慣性航法+天測航法
終末誘導:電波地形照合

詳細

MLA-VP-18極超音速滑空ミサイル
全長13.5m
重量14400kg
射程13500km
飛翔速度マッハ20以上
弾頭威力可変型核弾頭(0.5~350kt)
推進方式3段式固体燃料ロケットブースター
誘導方式中間誘導:慣性航法+天測航法
終末誘導:電波地形照合+赤外線画像地形照合

詳細

C4ISTAR

センサーシステム
シウダード・トロツキー級は音響センサーとして、対潜戦および対水上戦用に艦首ソナー、側面ソナー、曳航式ソナーを、接近する魚雷を探知するために逆探ソナーを、さらに航行用には機雷探知や水中障害物検出などに用いる高周波ソナーを搭載する。加えて、非貫通型潜望鏡、遠隔操作式水中無人機、対水上レーダーと低空警戒レーダーを兼ねるXバンドアクティブフェーズドアレイレーダー、航跡追跡装置等を搭載している。

艦首ソナーは従来の球形型アレイ方式から、艦首正面を広く覆うようなコンフォーマル型アレイに変更されている。馬蹄形のコンフォーマル型アレイにより従来の球形ソナーよりも開口部分が大幅に拡大されたことによって、水平方向ならびに垂直方向へのさらに鋭いビーム形成が可能となった他、ゲインが向上、さらに可聴周波数帯がやや広がった。また、アクティブモードでは、広帯域連続波を用いることにより、残響を抑制し、継続的に目標の探知と追尾を行うことが可能となった。このように、アクティブモードとパッシブモードの両モードにおいて正確性と探知距離が向上した。
側面アレイソナーは、従来の圧電素子を用いたハイドロフォン・アレイに代わり、光ファイバー・ハイドロフォン・アレイを採用している。これは音波の圧力ではなく光の干渉効果により音波を検出するもので、各アレイを小型化・軽量化・省電力化し、また艦内で発生した電磁気のノイズの影響を受けないようにすることができる。加えて、吸音材と一体化された受波器を採用したことによって、開口部を大幅に拡大することに成功している。
曳航式ソナーには、光ファイバー受波アレイ技術が活用されており、感度が向上、さらに指向性補償処理技術によって、これまで必要とされていた目標位置特定のための旋回動作が不必要なものとなった。また、純粋に単位長さ当たりの重量が軽量化されたために全長を長くして開口部を拡大することができた。これによって探知距離および目標位置特定までの時間が短縮された。なお曳航式ソナーの全長は、全速航行時であってもキャビテーション外から索敵することができるほど長いとされている。
逆探ソナーは艦首上部のレドームに搭載されており、敵の魚雷のアクティブ音響センサーが使用する各周波数帯の音波を探知して警報を発するものである。
高周波ソナーは浅海域での戦闘で特に重要であり、主に水中障害物と機雷の探知のために使用される。なお、高周波ソナーを使用せずに航行することも可能ではあり、その場合は高精度の海図を用いる。
各ソナーの探知情報は後述する音響情報処理システムのアルゴリズムにより自動的に統合される仕組みとなっている。異種ソナーの探知情報を統合処理することで、各種ソナーの探知距離や周波数帯をカバーし合うことができる。

非貫通型潜望鏡はマスト上部に1基装備されている。これは超高解像度可視光TVカメラ、FLIRおよびIRSTの機能を統合した超高解像度赤外線カメラ、レーザー測距装置、ESMアンテナなどを統合したシステムであり、主に洋上の監視に使用される。
遠隔操作式水中無人機は潜望鏡に代わるもので、垂直発射管から圧搾空気を用いて射出される。潜水艦と同様の仕組みの注排水システムによって海面まで浮上し、搭載センサーの映像を光ファイバーケーブルで母艦に中継することが可能である。なお、再回収することも可能である。センサーとしては、超高解像度可視光TVカメラ、FLIRおよびIRSTの機能を統合した超高解像度赤外線カメラ、レーザー測距装置、ESMアンテナなどが装備されており、非貫通型潜望鏡に準ずる性能を持つ。また、衛星通信アンテナを内蔵しており、これによって浮上せずとも衛星通信を利用することができる。

Xバンドアクティブフェーズドアレイレーダーは通常時マストに格納され、必要に応じて展開される方式となっている。レーダーは回転式マウントに搭載されており、探知距離は最大で30~50kmとされている。波が高い海域や雨天などの悪天候時でも高い精度を発揮し、海面に浮くブイなども探知可能である。舟艇との衝突防止の他、低空を飛行する哨戒ヘリコプターなどへの警戒にも使用される。

航跡追跡装置は、水温センサー、高感度放射線検知器、水圧センサーなどからなる。これによって敵潜水艦の航跡を追跡することが可能である。理想的な条件下においては、数十時間前に敵艦が通過した航跡を追跡することも可能である。
データリンクシステム
シウダード・トロツキー級は潜水艦であるため、水上艦や航空機と比較して通信手段の自由度が格段に低下する。これは、「1.逆探知による位置特定の危険性」「2.水中における通信環境整備の困難さ」の2つが主な要因である。前者は、潜水艦は空軍のステルス機と同様、なるべく高い静粛性を持つことによってその戦術的優位性を最大限に発揮できるという特性の裏返しでもある。例えば、指向性の低い通信手段では、電波や音波が拡散してしまい、逆探知されやすくなってしまう。後者は、水中の環境に起因する。水深数十メートル付近では超長波、それよりさらに深い海中では極超長波など一部の非常に長い波長で行われるものを除いて、従来の通信手段、例えば無線などを使用することは難しくなっている。これは水中において電磁波が急激に減衰することに起因している。第四インターナショナル連邦共和国は現在、光通信、レーザー通信、音響通信の3つのアプローチで将来的に潜水艦および水中無人機へ搭載することとなる予定の大容量水中通信システムの研究開発を行っているが、2022年現在では実用に達したものは存在していない。

このため、艦内と艦外を接続する通信端末としては、主にXバンドおよびKuバンドを利用する大容量衛星通信端末、超長波を利用する指令受信端末、非常時向けの携帯式衛星電話の3種類が用意されている。大容量衛星通信端末は、例えば敵艦隊の位置など、探知情報の共有を目的として使用される。最大通信速度は15Mbpsで、映像の送信も可能である。これにより、他の対水上戦/対潜戦アセットと、互いの探知情報をリアルタイムまたはノンリアルタイムで共有することが可能である。超長波を利用する指令受信端末は地上および航空機から潜水艦を管制するのに使用され、およそ水深50m付近まで、短いテキストデータなどを受信するのに使用できる。超長波を使用する通信装置はアンテナのサイズが非常に大きいため、潜水艦側に送信機は搭載されておらず、潜水艦側から送信することはできない。携帯式衛星電話は2004年の潜水艦事故で電源を喪失したために通信が使用できなくなり救助が遅れたことへの反省に基づき開発されたもので、艦に直接据え付けられたアンテナや、艦内の電源に依存せずに衛星を経由して救助を要請することができるものである。
指揮統制・情報処理システム
シウダード・トロツキー級の指揮統制・情報処理システムは、船体中央部のサーバールームに設けられた中央情報処理装置を中核に構成されており、魚雷発射管や垂直発射装置などの兵装、ソナーやレーダーや潜望鏡などのセンサー、衛星通信端末などのデータリンク端末、戦闘指揮所の情報表示装置などの各種類の主要なシステムとサーバールームの間は二重の光ファイバーによるローカル・エリア・ネットワークに接続されている。
戦闘指揮所の情報表示装置は10基からなり、各種センサー情報、航海情報、データリンクでもたらされた艦外の情報など様々な情報を統合して表示することが可能である。

兵装管制システムは魚雷発射管管制システムと垂直発射装置管制システムから構成されている。乗員は、現在装填中の兵装の種類をモニターで確認することが可能である。交戦時には、後述するシステムにより、目標撃破および任務達成に必要な武装を選択し、その発射指示を出す仕組みとなっている。

センサーと中央情報処理装置は、中央情報処理装置の負担を軽減するため、一度各センサーの処理装置で処理された情報を、中央情報処理装置で再統合して情報表示装置に表示する仕組みとなっており、これは「センサー・フュージョン」と呼ばれている。このうち、ソナーシステムに関しては、複数種類のソナーを自動的に統合処理し各種ソナーの周波数帯や探知距離をカバーし合うことを目的とした統合音響処理装置が導入されている。この他のセンサーとしては、潜望鏡、遠隔操作式無人機、Xバンド対水上レーダー、航跡追跡装置などがある。

本艦では水上航行中の場合、XバンドおよびKuバンドを利用する大容量衛星通信端末を用いて秒単位の誤差で情報を取得することが可能となっている。大容量衛星通信端末から送信されたデータを中央情報処理装置経由で情報表示装置に転送することで、上級司令部の命令から数百km先の敵艦の位置まで、あらゆる情報を迅速に意思決定に反映させることができる。

船体・機関

船体
シウダード・トロツキー級では、前級のグアダラハラ級と同様、徹底した静粛化・騒音対策を施している。一方で、コストパフォーマンスにも注意が払われており、船体は工期短縮とコスト低減のためモジュラー構造を採用、船体は主要な6つの防水区画とその他いくつかのモジュール区画に分割されている。各防水区画は以下の通りである。

第1防水区画
第1防水区画は主に発射管室、弾庫、居住区からなる。艦外へと通じる前部脱出口および魚雷搭載口も設けられている。
第2防水区画
第2防水区画は主に艦の指揮機能が集約されており、潜望鏡、セイル、発令所、艦長室、通信室、サーバールームなどが設けられている。
第3防水区画
第3防水区画は主に乗員の居住区である。また、食料や飲料水などの必需品が貯蔵されている他、居住性向上のためスポーツルームやシャワールームが用意されている。
第4防水区画
第4防水区画は主に垂直発射装置モジュールからなる。8基の垂直発射装置モジュールおよび各種兵装が装填されている。
第5防水区画
第5防水区画は原子炉区画となっており、後述する225MWの熱出力を発揮する自然循環炉2基を搭載している。
第6防水区画
第6防水区画は電動機(モーター)区画となっており、本級では交流の永久磁石同期電動機によりポンプジェット・プロパルサーを駆動する。

各居住区各モジュール区画内の甲板面は、細かい振動を吸収するゴムと、大きな振動を受け持つ圧縮空気サスペンションからなる防振機構を介して船殻に設置されており、船内から船外に伝播する音を可能な限り減らす設計となっている。

船体は側面に巨大なアレイソナーを配置する関係上、部分単殻構造となっている。これにより、側面のアレイソナーは直接耐圧殻に固定されている。船型は従来通りの水中速力を重視した涙滴型船体となっている。船体前面は大型の馬蹄形コンフォーマルアレイソナーおよび10門の魚雷発射管を搭載する。船体は降伏耐力110kgf/㎟の超高張力鋼で製造されており、公試潜航深度700m、圧壊深度1000mの深深度潜航能力を有する。予備浮力はおよそ20%となっている。

音響サイズ低減のため、船体全体を吸音材や反射材で埋め尽くし、さらにセイルなどの構造物を傾斜構造化、セイル基部などにはフィレットと呼ばれる連続した曲率の流線形の覆いを装備するなどの対策が行われている。吸音材は厚さ10cmで、アクティブソナーの音波を受けると逆位相の音を加えて減衰させた上で、複数種類のゴム層によって吸収してしまう効果がある。反射材は、入射音を音源と異なる方向に全反射させることが可能で、これにより敵潜水艦に対し自艦の位置を欺瞞することができる。セイル基部のフィレットも、水中抵抗の低減の他、乱流による水中雑音の発生を防ぐ効果があるとされる。

シウダード・トロツキー級ではそもそも船体自体が従来の潜水艦よりも大型化した他、船体をいくつかの防水モジュールに分割しそれぞれに独立した機能を付与した都合上、従来の潜水艦よりも全幅に対する全長が長くなったため、運動性の低下が懸念された。そこで、運動性を補う目的で、X字型の舵が採用された。従来の第四インターナショナル連邦共和国の潜水艦が採用していた十字型の舵では、垂直舵が回頭を、水平舵が姿勢制御を担当していたが、本級で採用されたX字型の舵では従来の十字型の舵を45度ずつ傾け、4枚の舵すべてに回頭と姿勢制御の両方の役割を担当させている。X字型の舵は十字型の舵と比較して運動性能に優れるほか、4枚の舵面のうち1枚が損傷しても残存する3枚で役割を分担して操縦できることから冗長性にも優れ、また着底・沈座・接岸時に舵面が損傷しにくいというメリットもある。従来では全油圧式だった舵などの駆動部を、冗長性を考慮して電気式と油圧式の両方に対応するものへと変更、通常時は電気式を使用することで、従来よりも駆動音を大幅に低減している。
機関
シウダード・トロツキー級では、機関構成に原子力ターボ・エレクトリック方式を採用している。これは、原子炉で発生させた蒸気によりタービンを回して発電し、その電力を用いて推進を行う方式である。通常のタービン直接駆動方式と比較して、変速機を廃止することができるため静粛性に優れるが、システムの複雑化、信頼性の低下、重量の増大などの欠点も有している。アメリカと比較して水中雑音低減技術で後れを取りがちだった第四インターナショナル連邦共和国海軍では1970年代よりフランス海軍の原子力潜水艦の騒音対策を参考にこの方式が導入され、以降全ての原子力潜水艦でこの方式が採用されている。

シウダード・トロツキー級の主機はグアダラハラ級が搭載していたR95加圧水型原子炉の改良型となるR10加圧水型原子炉を2基搭載している。R95加圧水型原子炉と比較して「1.エネルギー密度」「2.耐腐食性」「3.ライフサイクルコスト」の3点で大幅な近代化が達成されている。エネルギー密度の向上により、熱出力は最大240MWに上昇している。R95原子炉と同様、自然循環により最大出力時でもほとんど冷却材循環ポンプを使用せずに運転することが可能である。改良の余地があるとされた蒸気発生器の設計は見直されており、耐腐食性が向上し、さらにコンパクトとなった。ライフサイクルコストについても、近代的な電子制御、液晶パネルへの状態表示、自己診断装置などが実現されたことによって、原子炉の監視要員を30%削減できるようになり、さらにメンテナンスが必要な部位の数も減った。炉心寿命はおよそ36年で、就役期間中に炉心交換をする必要はないとされる。

シウダード・トロツキー級では、前級のグアダラハラ級と同様、騒音とキャビテーションを抑制するためスクリューの周りをシュラウドリングと呼ばれる覆いで覆ったポンプジェット推進方式を採用している。ポンプジェットを駆動させる方法は、前級のグアダラハラ級で採用していた直流電動機を用いてスクリューを回転させる方式から、交流の永久磁石同期電動機を回転させてスクリューを回転させる方式へと変更された。これは大型の交流電動機をインバータによって可変速運転するシステムで、速度切り替えの際の機構の操作が不要で、また整流子、ブラシ、界磁励磁回路、スリップリングを廃止してモーター自体を小型化することができるためメンテナンスが容易であるという利点がある。

同型艦

1番艦:シウダード・トロツキー
2番艦:アカプルコ
3番艦:ハバナ
4番艦:トレオン
5番艦:カンクン
6番艦:ベルモパン
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