架空国家を作ろう　第1.1世界線

C-12戦闘機は、第四インターナショナル連邦共和国航空宇宙軍が運用する第4世代ジェット戦闘機。1990年に初飛行、その4年後の1994年に運用が開始された。ソビエト連邦のスホーイ設計局が設計したSu-27戦闘機をベースに、第四インターナショナル連邦共和国航空宇宙軍の要求を反映して設計されている。同時期に開発・配備が進められたC-11戦闘機とは相互に任務を補完しあう関係にあり、ハイ・ローミックスコンセプトのハイに相当する。1994年から2014年までの21年間で378機が航空宇宙軍に配備された。

1981年、第四インターナショナル連邦共和国では従来分離していた空軍と防空軍が統合されて航空・防空軍が誕生した。当時、アメリカやガルマニアをはじめとする周辺の超大国では高い機動性と視程外交戦能力を両立した第4世代ジェット戦闘機の大量生産・大量配備が進められていた。一方の航空・防空軍では、ソビエト連邦から導入したMiG-21のライセンス生産型であるC-7戦闘機が数的主力で、さらにC-7戦闘機の設計を元に双発化したC-8迎撃戦闘機やカナード翼を追加したC-9前線戦闘機の配備が進行中というような状況であった。仮想敵国の強力な第4世代ジェット戦闘機に対抗するには、C-8やC-9といった新鋭機ですらやや力不足であり、航空・防空軍では速やかに第4世代ジェット戦闘機を導入することが必要不可欠であると見做されるようになった。

C-7	vs F-4	vs F-16	vs F-15
視程内戦闘	互角	劣勢	劣勢
視程外戦闘	劣勢	━━	劣勢

C-8	vs F-4	vs F-16	vs F-15
視程内戦闘	互角	劣勢	劣勢
視程外戦闘	互角	優勢	劣勢

C-9	vs F-4	vs F-16	vs F-15
視程内戦闘	優勢	劣勢	劣勢
視程外戦闘	劣勢	━━	劣勢

※当時第四インターナショナル連邦共和国航空・防空軍が装備していた戦闘機と、同時期のアメリカ空軍が装備していた戦闘機の性能比較。第四インターナショナル連邦共和国航空・防空軍の戦闘機が、質的に大幅に劣勢であることがわかる。

このような認識に基づき、1984年、航空・防空軍は「多用途前線戦闘機」と「長距離制空戦闘機」の2種類の戦闘機の調達計画を始動した。C-12戦闘機は、このうち後者の計画に基づくものである。計画では、少なくとも5000kg以上の兵装類を携行可能とすること、F-15と同程度の視程外戦闘能力の運用能力および機動性を発揮すること、空中給油なしで1000km先の空域で2時間の戦闘空中哨戒及び数分間の空戦を行えることなどが要求されていた。この過酷な要求に基づき、ソビエト連邦から航続距離に優れたSu-27戦闘機ないしはその改良型が導入されることが内定した。

しかし1985年に極秘裏に行われた性能評価で、Su-27は航空・防空軍の上層部を満足させることができなかった。航空・防空軍の上層部が特に問題視したのは、電子機器の性能が不十分で、仮想敵国の大型戦闘機に対し視程外戦闘で一方的に敗北を喫する恐れがあることであった。さらに、Su-27は当時ドロップタンクの搭載に対応しておらず、そのままでは航空・防空軍の要求仕様を満たせない可能性があった。

この要求に基づき、Su-27の改良型であるSu-27Mをベースとしながら、第四インターナショナル連邦共和国の運用環境に合わせて改設計を行った戦闘機が開発されることとなった。開発に当たっては、アビオニクスの性能向上と航続距離の増大に焦点が当てられた。アビオニクスについては、ミコヤン・グレヴィッチ設計局のMiG-31のレーダーの技術を参考に開発された新型パッシブフェーズドアレイレーダーを搭載、航続距離については、ドロップタンクへの対応といった改良が行われた。

1990年、C-12戦闘機の初号機がロシアで初飛行、翌年には機体が第四インターナショナル連邦共和国国内に移送され、各種の実験を繰り返し行った。1992年からは第四インターナショナル連邦共和国国内にて戦闘機の製造ラインの建設が開始された。そして1994年より運用が開始された。最初にC-12戦闘機を受領したのは、第1航空・防空軍団の隷下部隊で、首都メキシコシティの防空を担当する第101戦闘航空旅団だった。

固定武装としては、「CA-72」23mm航空機関砲を装備している。「CA-72」はソビエト連邦のGSh-23のライセンス生産品であり、重量は50kg前後と非常に軽量ながら、毎分3500発の高レートで23x115mm弾を発射する。装弾数は200発であり、半徹甲焼夷榴弾を主用する。動作方式はガスト式と呼ばれる方式で、2つの砲身から交互に装弾と発射を繰り返す仕組みとなっている。

ハードポイントは、胴体下に2か所、両エアインテーク下に1か所ずつ、両主翼下に4か所ずつ、両翼端に1か所ずつの合計14か所が設けられている。胴体下の前側1か所と両主翼下のうち1か所ずつの計3か所は増槽に対応しており、2000Lの落下式燃料タンクを搭載できる。また、C-12E/F以降では、コンフォーマル・フューエルタンクの装着に対応している。エアインテーク脇にコンフォーマル・フューエルタンクを装備した場合、両主翼下の最内側の第5、第10ステーションの使用が不可能となるが、コンフォーマル・フューエルタンク下部には各2箇所ずつ、最大1200kgまで搭載可能なハードポイント(第51、第52、第101、第102ステーション)が追加されるため、ハードポイント数はむしろ増大する。両翼端のハードポイントには、短距離空対空ミサイルのみが搭載可能となっている。武装の最大搭載量は、C-12A/Bで7000kg、C-11C/D/E/Fで8000kgとなっている。
それぞれのハードポイントが対応する重量は以下の通りである。

第1、第14ステーション	〜140kg
第2、第13ステーション	〜700kg
第3、第12ステーション	〜1400kg
第6、第9ステーション	〜280kg
第4、第5、第7、第8、第10、第11ステーション	〜2100kg
第51、第52、第101、第102ステーション	〜1200kg

初期型のC-12A(単座型)とC-12B(複座型)では、RCA-92パッシブフェーズドアレイレーダーが装備されていた。当初C-12は純粋な制空戦闘機として設計されており、このため同時期に採用されたC-11戦闘機のRCA-91パルスドップラーレーダーが空対空戦闘のみならず空対地戦闘などにも対応していたのに対して、RCA-92では空対地戦闘モードが省略されていた。アンテナの直径は960mm、レーダー全体の重量は600kgだった。整備性を高めるため、列線交換ユニットが採用されており、平均故障間隔は100時間以上とかなり優秀な信頼性を備えていた。
空対空戦闘のため、長距離捜索、短距離捜索、ドッグファイト、捜索中追尾、空中目標識別などの各種モードが用意されていた。平均的な第4世代戦闘機大サイズの目標に対する最大探知距離はルックアップ時で150km、ルックダウン時で100km、爆撃機や空中給油機などより大型の目標に対する最大探知距離は300km前後とされていた。また、最大探知距離のおよそ半分の距離で目標を追尾することが可能だった。さらに、十数目標を探知しつつ、そのうちの10目標を同時追尾可能な捜索中追尾(TWS)能力と、追尾中の10目標のうち2目標に対しMAA-90空対空ミサイルで攻撃できる同時多目標対処能力を備えた。

中期型のC-12C(単座型)、C-12D(複座型)、C-12AやC-12Bの近代化改修型であるC-12A2やC-12B2では、RCA-01パッシブフェーズドアレイレーダーが装備されていた。これは、RCA-92パッシブフェーズドアレイレーダーのバックエンド部の能力を向上させることによってさらに性能を向上させたものであった。さらに、C-12AやC-12Bが純粋な制空戦闘機として開発されていたのに対し、C-12CやC-12Dでは大きな搭載量を活かして戦闘攻撃機として活動することが求められたため、空対地戦闘モードの充実が図られた。
まず、バックエンド部の改良で、プロセッサの処理速度が数倍に高められ、メモリの容量も十倍以上に拡張された。これにより、まず空対空戦闘における探知距離、同時追尾数の両方が向上した。平均的な第4世代戦闘機大サイズの目標に対する最大探知距離は200km、爆撃機や空中給油機などより大型の目標に対する最大探知距離は400km前後にまで向上しており、同時追尾可能な目標は16目標に増加、このうちの6目標をMAA-99中距離空対空ミサイルで同時攻撃することが可能となった。
さらに、空対地戦闘用には、地上移動目標表示、海上移動目標追尾、合成開口マッピング、地形追従飛行、投下点継続計算、命中点連続計算などのモードが追加された。優れたクラッタ除去能力により、戦車大のサイズの目標を50km以遠から探知できた。合成開口マッピングモードでは10x10mの解像度で50km先の地形図を作り出すことが可能だった。地形追従飛行は低空侵入のための航法モードで、高度100m以下を地形に追随して飛行可能とした。投下点継続計算と命中点連続計算は、無誘導爆弾やロケット弾のためのモードで、爆弾の投下やロケット弾の発射のタイミングを制御することができた。

後期型のC-12E(単座型)、C-12F(複座型)や、それより前の機体の近代化改修型(C-12A3、C-12B3、C-12C2、C-12D2)では、RCA-09アクティブフェーズドアレイレーダーが装備された。RCA-09の開発に際しては、C-11戦闘機向けに開発されていたRCA-08アクティブフェーズドアレイレーダーの技術が多分に活用された。
フロントエンド部には、砒化ガリウム半導体を利用した送受信モジュールおよそ2250個が配置されており、プロセッサもメモリ容量が従来の数十倍になるなどさらに高性能化した。これにより、平均的な第4.5世代戦闘機大サイズの目標に対する最大探知距離は280km、爆撃機や空中給油機などより大型の目標に対する最大探知距離は550km前後にまで向上し、同時に24目標を追尾しMAA-99中距離空対空ミサイルを用いてそのうち8目標を攻撃することができるようになった。また、合成開口マッピングモードの解像度や地上目標の追尾能力も大幅に向上し、さらに高出力のマイクロ波による簡易的な電子妨害も実施できるようになった。
この他にRCA-09の重要な機能としては、インターリーブ能力とセンサーフュージョン能力が挙げられる。インターリーブ能力とは、複数のモードを同時併用する能力のことで、この機能により、例えば、海上移動目標追尾モードで敵艦を追尾しつつ、敵艦周辺を哨戒する敵戦闘機を追尾する、といったような運用が可能となった。センサーフュージョン能力とは、複数のセンサーの探知情報をコンピュータ上で統合処理する能力のことで、この機能により、例えば、距離分解能に優れるレーダーと角度分解能に優れる光学照準ポッドを組み合わせて敵機の位置をより正確に探知する、といったことが可能となった。これらの能力は、RCA-08の開発からフィードバックされたものであった。

C-12戦闘機の最新改修型には、RCA-17アクティブフェーズドアレイレーダーが搭載されることとなった。このレーダーは、第5世代戦闘機であるC-14やC-15のレーダーの技術をフィードバックして開発されており、C-14が搭載するRCA-14とは95％以上のソフトウェア共通性と70％以上のハードウェア共通性がある。C-14が搭載しているRCA-14との差異は、C-11戦闘機の機首レドームのサイズに合わせてアンテナの直径が1080mmから960mmに変更されていることと、電子機器のボックスの形状が変更されていることであり、これにより、大掛かりな改修無しで容易にRCA-09から換装することができる。
フロントエンド部には、窒化ガリウム半導体素子1500個が配置されている。窒化ガリウム半導体は、いわゆる「パワー半導体」として知られており、従来の砒化ガリウム半導体よりも高電圧・大電流を扱うことができる。窒化ガリウム半導体素子を利用するRCA-17は、砒化ガリウム半導体素子を利用するRCA-09と比較すると、送信出力は5倍以上に達し、これにより最大探知距離は1.5倍以上に向上している。

初期型のC-12A(単座型)とC-12B(複座型)では、OCA-91赤外線照準装置が装備されていた。これは、ソ連製のOEPS-27及びOEPS-29赤外線捜索追尾装置を参考に、一部をコピーして生産されたものである。専用ポッド内に収納されてキャノピー前方に装備されており、空中目標または地上目標を捜索するための赤外線捜索追尾装置と、標的までの距離を測定するレーザー測距装置を統合していた。システム全体の重量はおよそ125kgで、最大で40km先を飛行する敵戦闘機を探知でき、また、最大で20km以内の目標に対してレーザーを照射し距離を測定可能であった。このシステムと、発射後ロックオン機能を持つ短距離空対空ミサイルとを組み合わせることで、仮想敵国の戦闘機に対しドッグファイトで有利になることが期待されていた。パイロットは、ヘッドマウントディスプレイに赤外線照準装置の映像を映し出し、最大で左右45度、俯仰角+15度〜-45度の範囲内で目標を攻撃することが可能で、これは当時としてはかなり先進的な機能であった。

中期型のC-12C(単座型)、C-12D(複座型)や、C-12AやC-12Bの近代化改修型であるC-12A2やC-12B2では、OCA-99電子光学照準装置が装備された。OCA-99は、解像度320x256ピクセルで2段階に視野角を変更可能なターゲティング用の熱線映像装置、標的までの距離を測定するレーザー測距装置、衛星測位システムの座標取得機能を統合した、全く新しい光学システムとなっていた。従来のOCA-91は同時追尾可能な空中目標数がたかだか数目標であるのに対し、熱線映像装置を採用したOCA-99は、その10倍以上の目標を同時に追尾できるようになった。また、指定した地点の衛星測位システムの座標を迅速に取得する機能のおかげで、精密な攻撃のために衛星測位システムを用いる誘導爆弾などの運用に対応した。

後期型のC-12E(単座型)、C-12F(複座型)や、それより前の機体の近代化改修型(C-11A3、C-11B3、C-11C2、C-11D2)では、OCA-07多機能電子光学装置が搭載された。これは、解像度960x768ピクセルの熱線映像装置、720x720ピクセルのCCDイメージセンサ、標的までの距離を測定するレーザー測距装置、衛星測位システムの座標取得機能、秘匿性と通信速度に優れた地上との映像データリンクを統合したシステムである。より高解像度な熱線映像装置と、新たに搭載されたCCDイメージセンサによって、全天候下における目標識別能力が向上した。さらに、安全かつ大通信速度の映像データリンクは、近接航空支援に際して地上部隊の指揮官や攻撃管制官と綿密に連携を取り、友軍への誤爆を減らし、精密に敵を打撃することを可能にした。

C-12戦闘機の最新改修型には、OCA-15多機能電子光学装置が搭載されることとなった。これは、第5世代戦闘機であるC-14やC-15に搭載されているシステムと同じものであり、大直径の熱線映像装置やCCDイメージセンサと、強化された最新の画像安定化技術を組み合わせることにより、最大90km以遠から地上の自動車サイズの目標を識別できるほどの極めて高い探知能力を誇る。また、従来のOCA-07の熱線映像装置は中波長赤外線のみを利用していたのに対し、OCA-15の熱線映像装置は新たに短波長赤外線の利用を可能としており、マルチスペクトルセンシング機能を備える。さらに、従来のOCA-07は狭視野・広視野の2段階でのみ視野角を選択可能だったのに対し、OCA-15では無段階のデジタルズームが利用できる。

初期型のC-12A(単座型)とC-12B(複座型)では、自己防御装置としてSGEA-92戦術電子戦システムが装備されていた。SGEA-92は、RAR-92電波探知装置、SCE-92電子妨害装置、SD-92チャフ・フレアディスペンサーから構成されていた。まずRAR-92が、尾翼付近に取り付けられたレーダー受信機によって検出した2〜15GHzの脅威電波を速やかに解析、ライブラリと照合することで、脅威の種別(早期警戒レーダー、短距離地対空ミサイル/自走高射機関砲、中距離地対空ミサイル、長距離地対空ミサイル、早期警戒機/早期警戒管制機、戦闘機の6種類)、脅威度、方位、信号強度をコックピットのディスプレイに表示した。続いて、パイロットの操作に基づき、SCE-92が脅威に対する電子妨害を、SD-92がチャフ・フレアの展開を実施した。技術的にはソビエト連邦のSu-27や国産戦闘機C-11の初期型に搭載されていたようなシステムと同水準であったが、これらのシステムは個々のサブシステムが十分に統合されておらず、パイロットの負担が大きかった。

中期型のC-12C(単座型)、C-12D(複座型)や、C-12AやC-12Bの近代化改修型であるC-12A2やC-12B2では、SGEA-92の能力向上型にあたるSGEA-01が搭載された。SGEA-01は、中央制御コンピュータと、RAR-01電波探知装置、SCE-01電子妨害装置、SD-01チャフ・フレアディスペンサーから構成されていた。SGEA-01は真の統合自己防御システムであり、従来別々に作動していた電波探知装置、電子妨害装置、チャフ・フレアディスペンサーをコンピュータによって統合制御することでパイロットの負担を軽減しつつ効果的に自機を保護することを可能とした。サブシステムであるRAR-01はRAR-92の改良型、SCE-01はSCE-92の改良型であり、システムの完全デジタル化が達成されている他、SCE-01ではアンテナがパッシブフェーズドアレイ化され、これにより総合的に性能が向上した。これらのサブシステムの改良に際しては、C-11のSGEA-99システムの開発で得た技術がフィードバックされている。

後期型のC-12E(単座型)、C-12F(複座型)では、SGEA-09統合自己防御システムが搭載された。これは、AAMU-09紫外線式ミサイル警報装置、AAMR-09アクティブレーダー式ミサイル警報装置、RAL-09レーザー警報装置、RAR-09電波探知装置、SCE-09電子妨害装置、SD-09チャフ・フレアディスペンサー、SSR-07曳航式デコイなどを統合したシステムである。AAMU-09はロケットモーターの燃焼時に発生する紫外線を探知するシステム、AAMR-09は機体の3か所に設置されたKaバンドのパルスドップラーレーダーにより全周を警戒しミサイルの接近を探知するシステム、RAL-09は自機に照射されているレーザーを検知するシステムであり、これらにより、電波探知装置では探知できないパッシブ誘導式のミサイルや地上から発射されるセミアクティブレーザー誘導式のミサイル等の接近を探知できるようになった。RAR-09電波探知装置は、RAR-01のさらなる改良型で、対応する周波数帯が0.5〜20GHzに広がった他、検知範囲も従来の2倍以上に増大した。SCE-09は、SCE-01をベースにした新しい電子妨害装置であり、アンテナがアクティブフェーズドアレイアンテナに換装されている他、2種類のアンテナにより低周波のレーダー波に対しても有効な電子妨害が可能となった。SSR-07曳航式デコイは、長大な光ファイバーケーブルにより曳航されるデコイであり、敵のミサイルが誘導に使用する電波を解析し本来よりも強い出力で反射することによって自機の位置を効果的に偽装するもので、これにより生存性を大幅に高めることができた。
なお、C-12A3、C-12B3、C-12C2、C-12D2では、SGEA-09からAAMU-09とAAMR-09をオミットしたSGEA-10統合自己防御システムが搭載されることとなった。

C-12戦闘機の最新改修型には、SGEA-21統合自己防御システムが搭載されることとなった。このシステムは、第5世代戦闘機であるC-14やC-15に搭載される自己防御システムの技術をフィードバックしてSGEA-09をアップグレードしたものである。SGEA-21は、AAMU-09紫外線式ミサイル警報装置、AAMR-09アクティブレーダー式ミサイル警報装置、RAL-09レーザー警報装置、RAR-21電波探知装置、SCE-16電子妨害装置、SCL-16レーザー妨害装置、SD-09チャフ・フレアディスペンサー、SSR-07曳航式デコイを統合しており、加えて、多機能レーダーであるRCA-17と連携して電子戦を展開することも可能となっている。最大の特徴は、RAR-21電波探知装置である。従来の電波探知装置は、データベースにある周波数と受信した周波数を照合することで周波数を特定していたため、データベースにない電波を受信した際には対応できなかったのに対し、RAR-21は機械学習を用いたコグニティブな電子戦システムであり、未知の電波に対しても周波数を特定することができるようになっている。SCE-16はSCE-09の改良型であり、アクティブフェーズドアレイアンテナの送受信モジュールが砒化ガリウム製から窒化ガリウム製に変更され、送信出力は5倍、妨害範囲は1.5倍に向上した。

初期型のC-12A(単座型)とC-12B(複座型)は、SCA-92機上通信装置により、ED-81と呼ばれる戦術データリンクに対応していた。ED-81は、SATICT(早期警戒・地上要撃管制システム)を構成する早期警戒管制機やレーダーサイトからの指示を受けて目標と交戦するためのデータリンクであった。要撃管制に必要な各種諸元はUHF帯の時分割データリンクを利用して機上に送信され、そのデータを元に自動航法装置が機体を所定の位置に飛行させた。ED-81は一方向のデータリンクであり、戦闘機側ではデータを受信することしかできなかったが、その分簡便な設備で運用することが可能となっていた。

中期型のC-12C(単座型)、C-12D(複座型)、C-12AやC-12Bの近代化改修型であるC-12A2やC-12B2では、既存の航空無線機を改修した通信装置SCA-98によって、より現代的な戦術データリンクに連接することが可能となった。SCA-98は、UHFないしはVHF帯の時分割多元接続を利用して最大で1~2kbpsの速度で双方向通信することが可能であった。SCA-98を搭載した機体は、新たにED-97(通称EDEV、編隊内データリンク)やED-98(通称EDCST、地上状況認識データリンク)に対応した。ED-97は、最大で4機の戦闘機が参加可能な戦術データリンクであり、レーダー、光学照準装置、電波探知装置の情報をトラッキングの精度で共有し、各機のモニターに表示することができた。ED-98は、地上軍が装備するSIP(位置報告システム)と呼ばれる情報システムと連接された戦術データリンクであり、これにより近接航空支援を行う航空機が、地上部隊の位置をかなり正確に把握することを容易にした。

後期型のC-12E(単座型)、C-12F(複座型)や、それより前の機体の近代化改修型(C-12A3、C-12B3、C-12C2、C-12D2、C-12E2、C-12F2)では、新型の機上通信装置であるSCA-08を搭載した。これにより、UHF帯の時分割多元接続を利用して最大で200kbps(後に500kbpsや1Mbpsのモードが追加)で通信可能な新しい戦術データリンクであるED-07に接続することができるようになった。ED-07は、戦闘機、早期警戒管制機、レーダーサイトに加え、海軍の艦艇や地上軍の地対空ミサイルなどの他軍種の部隊との間でもトラッキングの精度での情報共有を可能とする新しい戦術データリンクであり、これにより各部隊の相互運用性が大幅に改善された。

2018年よりSCA-08を次世代ソフトウェア無線機SCA-19に換装する近代化改修が行われている。SCA-19では、ED-07の改良型にしてその後継となるED-18戦術データリンクへの接続が可能となっている。ED-18は、IPベースの次世代戦術データリンクであり、データストリームの多重化と新しい秘匿技術による従来よりも高速(200km先の航空機に2Mbpsの速度でデータを共有可能)かつセキュアな通信を実現している他、メッシュ化によって自身で通信をリレーすることが可能となっており、システム全体の抗堪性に優れ、見通し線外に対する通信も容易となっている。さらに、SCA-19はソフトウェア無線機であるため、より広範な用途に使用することが可能であり、複数チャンネルの秘匿音声通信機能や、戦術無線航法装置としての機能も備えている。

後期型のC-12E(単座型)、C-12F(複座型)や、それより前の機体の近代化改修型(C-12A3、C-12B3、C-12C2、C-12D2)では、センサーフュージョン能力が導入された。これは「パイロットを戦術家としての役割に専念させる」というコンセプトを元に、機体が様々なセンサーやデータリンクから収集した情報を、コンピュータによって統合して表示する能力のことである。従来の第4世代戦闘機は、レーダー、IRST、FLIR、データリンクなど、様々な手段で戦闘空間の情報を得ていたが、それぞれの情報は十分に統合されておらず、パイロットが脳内で各種情報を元に戦闘空間のイメージを構築し直す必要があり、パイロットにとって大きな負担となっていた。C-12後期型は、C-11後期型と同様、コンピュータによるセンサーフュージョンを導入し、こうした問題を解決することが可能となった。レーダー、電子光学照準システム、統合自己防御システム、データリンクで得られた全ての情報は、センサーフュージョンにより統合され、コックピットの大型多機能カラーディスプレイに表示される。パイロットは、この情報を元に最適な戦術を考えることができる。

C-12は、主翼形状にクリップトデルタ翼を採用している。クリップトデルタ形状の主翼は、デルタ翼と後退翼の中間のような形状となっており、後退角を浅くしながら広い翼面積をとることができるため、幅広い速度域において優れた機動性を発揮できる。動翼としては、主翼前縁にフラップ、主翼後端にフラッペロンが装備されている。これらは、高揚力装置としての機能のみならず、空戦時の機動性を向上させる機能を備えている。なお、原型となったSu-27Mではカナード翼が装備されていたが、C-12では廃止されている。

操縦系としては、当時最新のデジタル式フライバイワイヤが3系統、アナログ式フライバイワイヤが1系統導入されている。これはパイロットの操作を電気信号として変換して制御するもので、従来の機械リンクを用いた機体制御システムよりも軽量となっている。飛行制御は、4台の中央コンピュータによって行われる。C-12では、ピッチ方向の静的安定性弱体化が行われており、フライバイワイヤを活かして不安定な機体を制御することによって機動性を高めることが可能となっている。

機内には14500Lの燃料を搭載することが可能で、増槽なしで3600kmの航続距離を有していた。燃料を満載し主翼下と胴体下に2000L入り増槽3つを懸架した場合、その航続距離は5100kmにも達した。これにより、1000km先の空域に進出し、2時間の戦闘空中哨戒及び敵との空戦を行うことができる、という当初の要求仕様は達成された。C-12E/Fでは3000L入りコンフォーマル・フューエルタンクを機体側面両側に取り付けられるようになり、最大燃料搭載量は26500Lに膨れ上がった。

機体素材の面では、機体の主要部分にはアルミ・リチウム合金、チタン合金、炭素繊維複合材を多用して軽量化が図られていた。機体構成素材の35%をアルミ・リチウム合金が占め、次にチタン20%、炭素繊維複合材20%、鋼鉄15%、その他の素材が10%となっていた。

中期型のC-12C(単座型)、C-12D(複座型)では、チタン合金の大々的な使用によって機体構造が強化された。また、運用コストの高さが問題視されたため、機体フレームやそのほか部品の耐久性を高める努力がなされ、従来では飛行時間3000~4000時間程度とされていた機体寿命が、6000時間以上にまで改善した。

後期型のC-12E(単座型)、C-12F(複座型)では、より大胆に炭素繊維強化複合材による一体構造の主翼を採用し、これにより強度を維持しつつさらなる軽量化が達成された。また、エアインテークにはDSI方式(ダイバータレス超音速イントレット方式)を採用した。従来の可変式エアインテークと比較すると、構造の簡素化、インテーク内に侵入する電波が減少することによるステルス性の向上が見込まれる。合わせて、ステルス性を向上させるために電波吸収塗料が導入され、これらによりレーダー反射面積が数分の一に低下した。

初期型のC-12A(単座型)とC-12B(複座型)は、MR-90ターボファンエンジンを2基搭載していた。これはソビエト連邦のAL-31をベースとしたエンジンであり、全長は約500cm、直径は約125cmで、低圧4段、高圧9段の2軸式軸流圧縮機(全圧縮比は24:1)、高圧タービンと低圧タービン1段ずつ(タービン入り口温度は1400°C)を備え、ドライ出力は80kN、アフターバーナー使用時の出力は120kNであった。エンジンの寿命は飛行時間1500時間で、オーバーホール間隔は飛行時間500時間であった。しかし、第四インターナショナル連邦共和国航空宇宙軍はエンジンの耐久性や寿命や整備性に不満があったため、中期型のC-12C以降では国産の改良型エンジンを搭載することが決定された。

中期型のC-12C(単座型)、C-12D(複座型)や、C-12AやC-12Bの近代化改修型であるC-12A2やC-12B2では、改良型のエンジンであるMR-98が搭載された。MR-98はMR-90とほとんど同寸ながら、圧縮比は27:1に、タービン入り口温度も1500°Cにそれぞれ高められたことにより、ドライ出力は90kN、アフターバーナー使用時の出力は135kNにまで強化された。整備性を高めるためモジュラー設計が大々的に導入されたことで稼働率が大幅に上昇した他、部品の耐久性が大幅に高められたことによって、オーバーホール間隔は飛行時間1000時間に向上、寿命も飛行時間3000時間以上とそれぞれ2倍に改善した。

後期型のC-12E(単座型)、C-12F(複座型)や、それより前の機体の近代化改修型(C-12A3、C-12B3、C-12C2、C-12D2)では、より新しい国産エンジンであるMR-07が搭載された。MR-07は、MR-90とほとんど同寸ながら、圧縮比を30:1に、タービン入り口温度も1600°Cにそれぞれ高めたことにより、ドライ出力は100kN、アフターバーナー使用時の出力は150kNにまで強化された。また、スロットルレバーでの入力をエンジンに伝達する機構として、従来は油圧機構が採用されていたのに対し、MR-07ではFADECと呼ばれるシステムが導入され、全自動デジタル制御が可能となり、これにより構造が単純化して整備性が改善し、さらに軽量化によって推力重量比も向上した。さらに、2次元式の推力偏向ノズルが導入され、排気ノズルの向きを毎秒60度の速度で上下方向に最大15度まで変更できるようになった。推力偏向ノズルは、機体を制御するデジタル式フライ・バイ・ワイヤシステムの中央コンピュータによって制御され、これにより、高いSTOL性能と運動性能を確保することを可能とした。

C-11A/Bは初期型。A型が単座型、B型が複座型である。1994年から2000年までの7年間で126機が生産された。うち90機がA型、36機がB型であり、B型の機体は直ちに訓練飛行隊に引き渡され、以降の航空・防空軍において第4世代機に適合したパイロットを多数育成するのに役立てられた。当初、高価な第4世代双発ジェット戦闘機を対地攻撃に投入するのは非合理的であると考えられていたため、C-12A/Bに対地攻撃能力は付与されていなかったが、この方針は1990年代後半に撤回され、改修型のC-12A2/B2以降では対地攻撃能力が付与された。

C-12A2/B2は、C-12A/Bの能力をC-12C/Dに近づけたものである。レーダー、オプトロニクス、電子戦システム、データリンクなどのアビオニクスがC-12C/Dと同じレベルまでアップグレードされ、最新の兵器の運用にも対応した他、エンジンもC-12C/Dと同様、従来よりも強力なMR-98に換装された。特筆すべき点としては、ミッションソフトウェアの改修で本格的な対地攻撃能力が付与されたことが挙げられる。

C-12A3/B3は、C-12A2/B2の能力をC-12E/Fに近づけたものである。レーダー、オプトロニクス、電子戦システム、データリンクなどのアビオニクスがC-12E/Fと同じレベルまでアップグレードされ、最新の兵器の運用にも対応した他、エンジンもC-12E/Fと同様、従来よりも強力なMR-07に換装された。

C-12C/Dは中期型。C型が単座型、D型が複座型である。2001年から2007年までの7年間で126機が生産された。機体構造の強化とアビオニクスのアップグレードで本格的な対地攻撃能力が付与され、特に複座型のC-12Dは精密誘導兵器の運用に有利であるとして2000年代の第四インターナショナル連邦共和国航空・防空軍(2008年から航空宇宙軍)の主力戦闘攻撃機として配備された。生産数は、C型が99機、D型が27機であった。

C-12C2/D2は、C-12C/Dの能力をC-12E/Fに近づけたものである。レーダー、オプトロニクス、電子戦システム、データリンクなどのアビオニクスがC-12E/Fと同じレベルまでアップグレードされ、最新の兵器の運用にも対応した他、エンジンもC-12E/Fと同様、従来よりも強力なMR-07に換装された。

C-12E/Fは後期型。E型が単座型、F型が複座型である。2008年から2014年までの7年間で126機が生産された。機体強度は保ったまま機体構造を軽量化し、さらに強力な新型エンジンを採用したことでスーパークルーズが可能となった他、アビオニクスも大幅にアップグレードされた。これにより、第4世代ジェット戦闘機としては最上級の制空能力を有するに至った。

CB-13戦闘爆撃機は、C-12戦闘機の複座型をベースに開発された戦闘爆撃機。機体構造を大幅に強化することで最大12tの武装を搭載可能としており、C-12を50%上回る豊富な武装搭載量に裏打ちされた圧倒的な対地・対艦攻撃能力を有している。核報復を含む各種打撃用途に使用するため長距離攻撃航空軍団で集中運用されており、2023年現在108機が生産配備されている。