最終更新: register2121 2023年06月09日(金) 18:31:45履歴
100mm戦車砲D-10はソビエト連邦で開発されたライフル砲である。戦車砲として、自走砲と戦車に車載されて運用された。D-10には5つの派生型があるので、それについてと基本性能について解説する。
D-10Sは、対戦車自走砲火力強化を求められ、ソ連国家防衛委員会からの重戦車に対しての搭載を想定することも求められ、より小型で軽量な100mm砲として開発されたライフル砲である。
D-10Sは、53.5口径の長砲身により毎秒895mという高初速を実現しており、V号戦車パンターやティーガーIの主砲を大きく優越する性能を実現したが、ティーガーII戦車の主砲と比べるとまだ火力不足であった。
D-10Sは、53.5口径の長砲身により毎秒895mという高初速を実現しており、V号戦車パンターやティーガーIの主砲を大きく優越する性能を実現したが、ティーガーII戦車の主砲と比べるとまだ火力不足であった。
諸元 | |
---|---|
種別 | 後装式ライフル砲 |
口径 | 100mm |
砲身長 | 53.5口径長 |
作動機構 | |
砲尾 | 水平鎖栓式閉鎖機 |
反動 | 油圧緩衝器+液気圧式復座器 |
砲架 | 車載砲 |
性能 | |
仰俯角 | +18°,-3° |
薬室圧力 | 340MPa |
砲口初速 | F-412榴弾(HE):900m/s BR-412D徹甲弾(APCBC):887m/s |
最大射程 | 14,600m~16,000m |
発射速度 | 毎分4発又は最大毎分5~6発 |
砲弾・装薬 | |
弾薬 | 完全弾薬筒 |
砲弾 | F-412HE、BR-412DAPCBCなど |
1945年、ソ連軍は圧倒的な優勢を確保してドイツ本土への進撃を始めようとしていた頃、56口径長の改良型であるD-10TをT-44中戦車に搭載する研究が行われた。D-10Tを搭載した試作車はT-44-100と称され、比較対象であったLB-1砲搭載型と比べても性能の優越が確認された。
しかし設計上、T-44の車体では100mm砲の発射反動に耐えられるか微妙であり、100mm砲の搭載を前提に全面的に改設計されたT-54主力戦車が開発された。
しかし設計上、T-44の車体では100mm砲の発射反動に耐えられるか微妙であり、100mm砲の搭載を前提に全面的に改設計されたT-54主力戦車が開発された。
諸元 | |
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種別 | 後装式ライフル砲 |
口径 | 100mm |
砲身長 | 56口径長 |
作動機構 | |
砲尾 | 水平鎖栓式閉鎖機 |
反動 | 油圧緩衝器+液気圧式復座器 |
砲架 | 車載砲 |
性能 | |
仰俯角 | +20°,-5° |
薬室圧力 | 360MPa |
砲口初速 | F-412榴弾(HE):900m/s BR-412D徹甲弾(APCBC):887m/s |
最大射程 | 14,600m~16,000m |
発射速度 | 毎分4発又は最大毎分5~6発 |
砲弾・装薬 | |
弾薬 | 完全弾薬筒 |
砲弾 | F-412HE、BR-412DAPCBCなど |
1955年に、D-10Tに砲安定装置を導入し、砲身先端にカウンターウェイトを装備した改良型のD-10TGが開発された。この砲安定装置はSTP-1ゴリゾーントと呼ばれる照準の縦軸を制御する装備であり、同時に手動であった仰俯角の操作も電動または油圧となった。しかし、走行中に砲尾が動いて装填手を事故死させるというトラブルも発生しており、完成度に問題があった。
諸元 | |
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種別 | 後装式ライフル砲 |
口径 | 100mm |
砲身長 | 56口径長 |
作動機構 | |
砲尾 | 水平鎖栓式閉鎖機 |
反動 | 油圧緩衝器+液気圧式復座器 |
砲架 | 車載砲 |
性能 | |
仰俯角 | +20°,-5° |
薬室圧力 | 360MPa |
砲口初速 | F-412榴弾(HE):900m/s BR-412D徹甲弾(APCBC):887m/s |
最大射程 | 14,600m~16,000m |
発射速度 | 毎分4発又は最大毎分5~6発 |
砲弾・装薬 | |
弾薬 | 完全弾薬筒 |
砲弾 | F-412HE、BR-412DAPCBCなど |
翌年の1956年には、縦軸と横軸の両軸制御を可能としたツィクローン砲安定装置とエバキュレーターを導入したD-10T2Sが開発された。しかし、砲安定装置は近年の戦車のように行進間射撃ができるほどの性能はなく、目標に対して大雑把に指向したものを砲手が微調整して照準するというレベルだった。T-54Bと全面的な改設計を施されたT-55に装備された。
諸元 | |
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種別 | 後装式ライフル砲 |
口径 | 100mm |
砲身長 | 56口径長 |
作動機構 | |
砲尾 | 水平鎖栓式閉鎖機 |
反動 | 油圧緩衝器+液気圧式復座器 |
砲架 | 車載砲 |
性能 | |
仰俯角 | +20°,-5° |
薬室圧力 | 360MPa |
砲口初速 | F-412榴弾(HE):900m/s BR-412D徹甲弾(APCBC):887m/s |
最大射程 | 14,600m~16,000m |
発射速度 | 毎分4発又は最大毎分5~6発 |
砲弾・装薬 | |
弾薬 | 完全弾薬筒 |
砲弾 | F-412HE、BR-412DAPCBCなど |
D-54はD-10Tを元に開発された試作砲である。D-54はD-10Tと比べて初活力にして30%増加しており、より高初速・高威力のAPDSを運用できるようになっている。砲身先端部には多孔式マズルブレーキが装備されている。ライフサイクルコストの高さやAPDS使用時の不具合などにより実用化されることは無かったが、後に開発される115mm滑腔砲2A20のベースとなった。
諸元 | |
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種別 | 後装式ライフル砲 |
口径 | 100mm |
砲身長 | 56口径長 |
作動機構 | |
砲尾 | 水平鎖栓式閉鎖機 |
反動 | 油圧緩衝器+液気圧式復座器 |
砲架 | 車載砲 |
性能 | |
仰俯角 | +20°,-5° |
薬室圧力 | 380MPa |
砲口初速 | F-412榴弾(HE):900m/s BR-412D徹甲弾(APCBC):887m/s 3BM25装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS):1,430m/s |
最大射程 | 14,600m~16,000m |
発射速度 | 毎分4発又は最大毎分5~6発 |
砲弾・装薬 | |
弾薬 | 完全弾薬筒 |
砲弾 | F-412HE、BR-412DAPCBC、3BM25APFSDSなど |
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