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9A52-4多連装ロケット砲システム
基本情報
種類装輪式自走多連装ロケット砲
運用者ソビエト連邦軍地上軍
製造期間2010年~現在
製造モトヴィリカ貨車工場
製造数9A52-4:201基
9A53-G:243基
9A53-U:215基
9A53-S:162基
性能
全長11.2(m)
全幅2.5(m)
全高3.15(m)
重量24.65(t)
口径122mm/220mm/300mm
銃砲身15/8/6
最大射程90km
懸架方式8×8輪駆動(m)
速度90(km/h)
主兵装9M55/9M528ロケット弾
エンジンKamAZ-740.50.360/ディーゼルエンジン
行動距離1000km
乗員2名

概要

9A52-4多連装ロケット砲システムは、2011年にソビエト連邦が制式採用した装輪式自走多連装ロケット砲。主にソ連空挺軍や地上軍の砲兵旅団、砲兵大隊等に配備される。その射程は122mmロケット弾を使用した場合40km、220mmロケット弾を使用した場合95km、300mmロケット弾を使用した場合200km、戦術弾道ミサイル1発を使用した場合300kmに達する。弾頭はサーモバリック弾頭や化学兵器弾頭、榴弾や対人地雷散布弾頭が存在する。このような絶大な破壊力、長大な射程による支援能力を活かし、敵軍の司令部、軍事基地、燃料や弾薬などの物資集積所、行軍中の敵野戦軍、砲兵陣地、要塞線などを標的として攻撃を行う。

特徴

9A52-4 タルナード

攻撃力
9A52-4は、車体後部に新型のアルミフレーム製の全周旋回式発射機を備える。ここには、300mmロケット弾6発を収容できる。グラスファイバー製の6連想発射ポッドを搭載する。300mmロケット弾は3秒間隔で、最短で18秒以内に全弾を撃ち切る。旋回発射機は発射ポッドの迅速な再装填を実現するためにクレーンを内蔵しており、これにより、発射ポッド1つにつき5分で再装填を行うことができる。

300mmロケット弾は発射重量800kg、弾頭重量243kgで、最大射程は150kmである。通常の高性能炸薬弾頭の他、多目的クラスター弾頭、対戦車クラスター弾頭、サーモバリック弾頭などが用意されている。対人/対車両用クラスター弾頭は、装甲車両などの天板装甲を貫通するための成形炸薬弾頭をベースに、ソフトスキンなどに対する殺傷能力を高めるために破片効果と焼夷効果を追加したものであり、300mmロケット弾ならば640個が搭載される。対戦車クラスター弾頭は、赤外線画像装置によって目標識別・自己誘導が可能な子弾を放出するものである。300mmロケット弾はGLONASS衛星測位システムの補正を受けた慣性航法システムによる精密誘導能力を有し最大射程付近でCEPは7mとなっている。

別の発射ポットに換装して9K720イスカンデルK戦域弾道ミサイル1発の使用が可能である。9K720は発射重量3,800kg、弾頭重量480kgで、最大射程は500kmである。弾頭には核弾頭、高性能炸薬弾頭、多目的クラスター弾頭、地中貫通弾頭、燃料気化爆弾頭、電磁パルス弾頭などが用意されている。クラスター弾頭は、装甲車両などの天板装甲を貫通するための成形炸薬弾頭をベースに、ソフトスキンなどに対する殺傷能力を高めるために破片効果と焼夷効果を追加したものであり、9K720Kならば1200個以上の子弾が搭載される。9K720KはGLONASS衛星測位システムの補正を受けた慣性航法システムによる精密誘導能力を有し最大射程付近でCEPは15m辺りとなっている。
ベトロニクス
9A52-4は現代の戦争で要求される火力支援を確実に達成するため、戦術データ・リンクと接続された高度な射撃統制システムを有している。司令部からの攻撃指令に従い、目標位置へロケット弾を飛翔させるのに必要な角度に全周旋回式発射機を自動で指向し、指定の種類のロケット弾に対し飛翔経路を自動で計算して入力し、砲手の音声操作により射撃を行う機能を有する。なお、非常時には、これら全ての操作を砲手が手動で実施することも可能である。射撃統制システムのコントロールタッチパネルは砲手席に設けられており、現在装填されているロケット弾やミサイルの弾種を確認したり、信管の詳細な設定を行ったりすることも可能である。

9A52-4は、ソ連軍のデータリンクシステムに接続するために全車両型多機能情報通信システム(AMICS)を搭載する。AMICSは、あらゆる軍種と兵科に共通の高速通信装置を支給することを目的に開発され、極超短波(UHF)・短波(HF)・超短波(VHF)までの通信に対応している。往来の全てのソ連軍の無線通信及びソ連軍のネットワークを代替する。必要に応じて、無線機本体に衛星通信装置、データリンクと射撃統制システムの橋渡しを行う高速演算装置、長距離通信のリアルタイム性を高めるために必要な小型化のセシウム原子時計など各種モジュールの追加が可能で、それらでアップデートを行える。また、ソフトウェアを更新することにより追加の使用方法が付与される。この通信端末を用いることで、本車では砲兵戦術情報システム(AFATDS)に接続できる。

砲兵戦術情報システムは、ソ連地上軍の砲兵部隊の火力発揮を統制するべく開発されたシステムである。
方面軍、軍、旅団に設けられる火力指揮統制所を中心として、前線の部隊、偵察狙撃・観測を任務とする部隊、偵察車両、無人機、対砲兵レーダー、偵察機などの各種の索敵手段と、各種口径の牽引砲、ロケット砲、自走砲また航空宇宙軍との連携があり、弾道ミサイルおよび巡航ミサイル発射機、攻撃機や戦闘爆撃機や爆撃機などの各種攻撃手段などを結合するシステムである。前線の部隊からの火力支援要請、偵察任務にあたる地上部隊や航空部隊からもたらされた各種情報は統制所のモニターに集約して表示され、上層部の意思決定支援の下、各目標に対し隷下にある適切な攻撃手段を選択、選択した攻撃手段に対し目標の座標情報や攻撃の方法について伝達し、さらに観測任務にあたる地上部隊や航空部隊によって攻撃の効果を観測する。上位の階梯の統制所は、下位の階梯の統制所から手持ちの攻撃手段で対処しきれない目標に対する攻撃を依頼される場合もある。広域な射程と高い破壊力、高い機動性を有する9A52-4は、主に各旅団の砲兵大隊、各軍の砲兵旅団に配属され、当システムの攻撃手段として機能する。
防御力・機動力
9A52-4多連装ロケット砲システムは、車体シャーシにKamAZ製軍用トラック「KamAZ-6350」を採用している。これは、オフロードで10tの貨物を運搬可能な4軸8輪駆動トラックで、全輪駆動でタイヤ圧自動制御装置を備えており、このクラスの車両としては悪路走破性はかなり高い。キャビンは与圧式のNBC防護機能を備えており、2名の乗員は車外に出ることなく停車からの分以内に発射準備を整えられる。また、ロケット弾の発射炎からキャビンを保護するブラストシールドが備わっている。エンジンとして360馬力多燃料対応ディーゼルエンジンが搭載されており、整地であれば時速90kmで走行することが可能である。燃料無補給での航続距離は1,000kmである

9A53-G タルナード

攻撃力
9A53-Gは、BM-21のアップグレード版で、車体後部に新型のアルミフレーム製の全周旋回式発射機を備える。ここには、122mmロケット弾40発を収容できる。グラスファイバー製の箱型の発射ポッドを搭載する。122mmロケット弾は0.5秒間隔で、最短で20秒以内に全弾を撃ち切る。旋回発射機は発射ポッドの迅速な再装填を実現するためにクレーンを内蔵しており、これにより、発射ポッド1つにつき3分で再装填を行うことができる。

122mmロケット弾は発射重量66kg、弾頭重量21kgで、最大射程は40kmである。通常の高性能炸薬弾頭の他、多目的クラスター弾頭、対戦車クラスター弾頭、サーモバリック弾頭などが用意されている。対人/対車両用クラスター弾頭は、装甲車両などの天板装甲を貫通するための成形炸薬弾頭をベースに、ソフトスキンなどに対する殺傷能力を高めるために破片効果と焼夷効果を追加したものであり、122mmロケット弾ならば45個が搭載される。対戦車クラスター弾頭は、赤外線画像装置によって目標識別・自己誘導が可能な子弾を放出するもので、122mmロケット弾ならば最大1個を運搬できる。122mmロケット弾はGLONASS衛星測位システムの補正を受けた慣性航法システムによる精密誘導能力を有し最大射程付近でCEPは5mとなっている。
ベトロニクス
9A53-Gは現代の戦争で要求される火力支援を確実に達成するため、戦術データ・リンクと接続された高度な射撃統制システムを有している。司令部からの攻撃指令に従い、目標位置へロケット弾を飛翔させるのに必要な角度に全周旋回式発射機を自動で指向し、指定の種類のロケット弾に対し飛翔経路を自動で計算して入力し、砲手の音声操作により射撃を行う機能を有する。なお、非常時には、これら全ての操作を砲手が手動で実施することも可能である。射撃統制システムのコントロールタッチパネルは砲手席に設けられており、現在装填されているロケット弾やミサイルの弾種を確認したり、信管の詳細な設定を行ったりすることも可能である。

9A53-Gは、ソ連軍のデータリンクシステムに接続するために全車両型多機能情報通信システム(AMICS)を搭載する。AMICSは、あらゆる軍種と兵科に共通の高速通信装置を支給することを目的に開発され、極超短波(UHF)・短波(HF)・超短波(VHF)までの通信に対応している。往来の全てのソ連軍の無線通信及びソ連軍のネットワークを代替する。必要に応じて、無線機本体に衛星通信装置、データリンクと射撃統制システムの橋渡しを行う高速演算装置、長距離通信のリアルタイム性を高めるために必要な小型化のセシウム原子時計など各種モジュールの追加が可能で、それらでアップデートを行える。また、ソフトウェアを更新することにより追加の使用方法が付与される。この通信端末を用いることで、本車では砲兵戦術情報システム(AFATDS)に接続できる。

砲兵戦術情報システムは、ソ連地上軍の砲兵部隊の火力発揮を統制するべく開発されたシステムである。
方面軍、軍、旅団に設けられる火力指揮統制所を中心として、前線の部隊、偵察狙撃・観測を任務とする部隊、偵察車両、無人機、対砲兵レーダー、偵察機などの各種の索敵手段と、各種口径の牽引砲、ロケット砲、自走砲また航空宇宙軍との連携があり、弾道ミサイルおよび巡航ミサイル発射機、攻撃機や戦闘爆撃機や爆撃機などの各種攻撃手段などを結合するシステムである。前線の部隊からの火力支援要請、偵察任務にあたる地上部隊や航空部隊からもたらされた各種情報は統制所のモニターに集約して表示され、上層部の意思決定支援の下、各目標に対し隷下にある適切な攻撃手段を選択、選択した攻撃手段に対し目標の座標情報や攻撃の方法について伝達し、さらに観測任務にあたる地上部隊や航空部隊によって攻撃の効果を観測する。上位の階梯の統制所は、下位の階梯の統制所から手持ちの攻撃手段で対処しきれない目標に対する攻撃を依頼される場合もある。広域な射程と高い破壊力、高い機動性を有する9A52-4は、主に各旅団の砲兵大隊、各軍の砲兵旅団に配属され、当システムの攻撃手段として機能する。
防御力・機動力
9A53-G多連装ロケット砲システムは、車体シャーシにUralAZ製軍用トラック「Ural-4320」を採用している。これは、オフロードで5tの貨物を運搬可能な2軸4輪駆動トラックで、全輪駆動でタイヤ圧自動制御装置を備えており、このクラスの車両としては悪路走破性はかなり高い。キャビンは与圧式のNBC防護機能を備えており、4名の乗員は車外に出ることなく停車からの3分以内に発射準備を整えられる。また、ロケット弾の発射炎からキャビンを保護するブラストシールドが備わっている。エンジンとして360馬力多燃料対応ディーゼルエンジンが搭載されており、整地であれば時速75kmで走行することが可能である。燃料無補給での航続距離は800kmである

9A53-U タルナード

攻撃力
9A53-Uは、BM-27のアップグレード版で、車体後部に新型のアルミフレーム製の全周旋回式発射機を備える。ここには、220mmロケット弾12発を収容できる。グラスファイバー製の箱型の発射ポッドを搭載する。220mmロケット弾は1~2秒間隔で、最短で20秒以内に全弾を撃ち切る。旋回発射機は発射ポッドの迅速な再装填を実現するためにクレーンを内蔵しており、これにより、発射ポッド1つにつき3分で再装填を行うことができる。

220mmロケット弾は発射重量305.4kg、弾頭重量102kgで、最大射程は95kmである。通常の高性能炸薬弾頭の他、多目的クラスター弾頭、対戦車クラスター弾頭、サーモバリック弾頭などが用意されている。対人/対車両用クラスター弾頭は、装甲車両などの天板装甲を貫通するための成形炸薬弾頭をベースに、ソフトスキンなどに対する殺傷能力を高めるために破片効果と焼夷効果を追加したものであり、220mmロケット弾ならば280個が搭載される。対戦車クラスター弾頭は、赤外線画像装置によって目標識別・自己誘導が可能な子弾を放出するもので、220mmロケット弾ならば最大5個を運搬できる。220mmロケット弾はGLONASS衛星測位システムの補正を受けた慣性航法システムによる精密誘導能力を有し最大射程付近でCEPは5mとなっている。

別の発射ポットに換装して9K720イスカンデルK戦域弾道ミサイル2発の使用が可能である。9K720は発射重量3,800kg、弾頭重量480kgで、最大射程は500kmである。弾頭には核弾頭、高性能炸薬弾頭、多目的クラスター弾頭、地中貫通弾頭、燃料気化爆弾頭、電磁パルス弾頭などが用意されている。クラスター弾頭は、装甲車両などの天板装甲を貫通するための成形炸薬弾頭をベースに、ソフトスキンなどに対する殺傷能力を高めるために破片効果と焼夷効果を追加したものであり、9K720Kならば1200個以上の子弾が搭載される。9K720KはGLONASS衛星測位システムの補正を受けた慣性航法システムによる精密誘導能力を有し最大射程付近でCEPは15m辺りとなっている。
ベトロニクス
9A53-Uは現代の戦争で要求される火力支援を確実に達成するため、戦術データ・リンクと接続された高度な射撃統制システムを有している。司令部からの攻撃指令に従い、目標位置へロケット弾を飛翔させるのに必要な角度に全周旋回式発射機を自動で指向し、指定の種類のロケット弾に対し飛翔経路を自動で計算して入力し、砲手の音声操作により射撃を行う機能を有する。なお、非常時には、これら全ての操作を砲手が手動で実施することも可能である。射撃統制システムのコントロールタッチパネルは砲手席に設けられており、現在装填されているロケット弾やミサイルの弾種を確認したり、信管の詳細な設定を行ったりすることも可能である。

9A53-Uは、ソ連軍のデータリンクシステムに接続するために全車両型多機能情報通信システム(AMICS)を搭載する。AMICSは、あらゆる軍種と兵科に共通の高速通信装置を支給することを目的に開発され、極超短波(UHF)・短波(HF)・超短波(VHF)までの通信に対応している。往来の全てのソ連軍の無線通信及びソ連軍のネットワークを代替する。必要に応じて、無線機本体に衛星通信装置、データリンクと射撃統制システムの橋渡しを行う高速演算装置、長距離通信のリアルタイム性を高めるために必要な小型化のセシウム原子時計など各種モジュールの追加が可能で、それらでアップデートを行える。また、ソフトウェアを更新することにより追加の使用方法が付与される。この通信端末を用いることで、本車では砲兵戦術情報システム(AFATDS)に接続できる。

砲兵戦術情報システムは、ソ連地上軍の砲兵部隊の火力発揮を統制するべく開発されたシステムである。
方面軍、軍、旅団に設けられる火力指揮統制所を中心として、前線の部隊、偵察狙撃・観測を任務とする部隊、偵察車両、無人機、対砲兵レーダー、偵察機などの各種の索敵手段と、各種口径の牽引砲、ロケット砲、自走砲また航空宇宙軍との連携があり、弾道ミサイルおよび巡航ミサイル発射機、攻撃機や戦闘爆撃機や爆撃機などの各種攻撃手段などを結合するシステムである。前線の部隊からの火力支援要請、偵察任務にあたる地上部隊や航空部隊からもたらされた各種情報は統制所のモニターに集約して表示され、上層部の意思決定支援の下、各目標に対し隷下にある適切な攻撃手段を選択、選択した攻撃手段に対し目標の座標情報や攻撃の方法について伝達し、さらに観測任務にあたる地上部隊や航空部隊によって攻撃の効果を観測する。上位の階梯の統制所は、下位の階梯の統制所から手持ちの攻撃手段で対処しきれない目標に対する攻撃を依頼される場合もある。広域な射程と高い破壊力、高い機動性を有する9A52-4は、主に各旅団の砲兵大隊、各軍の砲兵旅団に配属され、当システムの攻撃手段として機能する。
防御力・機動力
9A53-U多連装ロケット砲システムは、車体シャーシにジル製軍用トラック「ZIL-135LM」を採用している。これは、オフロードで10tの貨物を運搬可能な4軸8輪駆動トラックで、全輪駆動でタイヤ圧自動制御装置を備えており、このクラスの車両としては悪路走破性はかなり高い。キャビンは与圧式のNBC防護機能を備えており、4名の乗員は車外に出ることなく停車からの分以内に発射準備を整えられる。また、ロケット弾の発射炎からキャビンを保護するブラストシールドが備わっている。エンジンとして360馬力多燃料対応ディーゼルエンジンが搭載されており、整地であれば時速80kmで走行することが可能である。燃料無補給での航続距離は800kmである

9A53-S タルナード

攻撃力
9A53-Sは、BM-30のアップグレード版で、車体後部に新型のアルミフレーム製の全周旋回式発射機を備える。ここには、300mmロケット12発を収容できる。グラスファイバー製の箱型の発射ポッドを搭載する。300mmロケット弾は3~4秒間隔で、最短で18秒以内に全弾を撃ち切る。旋回発射機は発射ポッドの迅速な再装填を実現するためにクレーンを内蔵しており、これにより、発射ポッド1つにつき5分で再装填を行うことができる。

300mmロケット弾は発射重量800kg、弾頭重量243kgで、最大射程は15-kmである。通常の高性能炸薬弾頭の他、多目的クラスター弾頭、対戦車クラスター弾頭、サーモバリック弾頭などが用意されている。対人/対車両用クラスター弾頭は、装甲車両などの天板装甲を貫通するための成形炸薬弾頭をベースに、ソフトスキンなどに対する殺傷能力を高めるために破片効果と焼夷効果を追加したものであり、122mmロケット弾ならば640個が搭載される。対戦車クラスター弾頭は、赤外線画像装置によって目標識別・自己誘導が可能な子弾を放出するものである。300mmロケット弾はGLONASS衛星測位システムの補正を受けた慣性航法システムによる精密誘導能力を有し最大射程付近でCEPは5mとなっている。

別の発射ポットに換装して9K720イスカンデルK戦域弾道ミサイル2発の使用が可能である。9K720は発射重量3,800kg、弾頭重量480kgで、最大射程は500kmである。弾頭には核弾頭、高性能炸薬弾頭、多目的クラスター弾頭、地中貫通弾頭、燃料気化爆弾頭、電磁パルス弾頭などが用意されている。クラスター弾頭は、装甲車両などの天板装甲を貫通するための成形炸薬弾頭をベースに、ソフトスキンなどに対する殺傷能力を高めるために破片効果と焼夷効果を追加したものであり、9K720Kならば1200個以上の子弾が搭載される。9K720KはGLONASS衛星測位システムの補正を受けた慣性航法システムによる精密誘導能力を有し最大射程付近でCEPは15m辺りとなっている。
ベトロニクス
9A53-Sは現代の戦争で要求される火力支援を確実に達成するため、戦術データ・リンクと接続された高度な射撃統制システムを有している。司令部からの攻撃指令に従い、目標位置へロケット弾を飛翔させるのに必要な角度に全周旋回式発射機を自動で指向し、指定の種類のロケット弾に対し飛翔経路を自動で計算して入力し、砲手の音声操作により射撃を行う機能を有する。なお、非常時には、これら全ての操作を砲手が手動で実施することも可能である。射撃統制システムのコントロールタッチパネルは砲手席に設けられており、現在装填されているロケット弾やミサイルの弾種を確認したり、信管の詳細な設定を行ったりすることも可能である。

9A53-Sは、ソ連軍のデータリンクシステムに接続するために全車両型多機能情報通信システム(AMICS)を搭載する。AMICSは、あらゆる軍種と兵科に共通の高速通信装置を支給することを目的に開発され、極超短波(UHF)・短波(HF)・超短波(VHF)までの通信に対応している。往来の全てのソ連軍の無線通信及びソ連軍のネットワークを代替する。必要に応じて、無線機本体に衛星通信装置、データリンクと射撃統制システムの橋渡しを行う高速演算装置、長距離通信のリアルタイム性を高めるために必要な小型化のセシウム原子時計など各種モジュールの追加が可能で、それらでアップデートを行える。また、ソフトウェアを更新することにより追加の使用方法が付与される。この通信端末を用いることで、本車では砲兵戦術情報システム(AFATDS)に接続できる。

砲兵戦術情報システムは、ソ連地上軍の砲兵部隊の火力発揮を統制するべく開発されたシステムである。
方面軍、軍、旅団に設けられる火力指揮統制所を中心として、前線の部隊、偵察狙撃・観測を任務とする部隊、偵察車両、無人機、対砲兵レーダー、偵察機などの各種の索敵手段と、各種口径の牽引砲、ロケット砲、自走砲また航空宇宙軍との連携があり、弾道ミサイルおよび巡航ミサイル発射機、攻撃機や戦闘爆撃機や爆撃機などの各種攻撃手段などを結合するシステムである。前線の部隊からの火力支援要請、偵察任務にあたる地上部隊や航空部隊からもたらされた各種情報は統制所のモニターに集約して表示され、上層部の意思決定支援の下、各目標に対し隷下にある適切な攻撃手段を選択、選択した攻撃手段に対し目標の座標情報や攻撃の方法について伝達し、さらに観測任務にあたる地上部隊や航空部隊によって攻撃の効果を観測する。上位の階梯の統制所は、下位の階梯の統制所から手持ちの攻撃手段で対処しきれない目標に対する攻撃を依頼される場合もある。広域な射程と高い破壊力、高い機動性を有する9A52-4は、主に各旅団の砲兵大隊、各軍の砲兵旅団に配属され、当システムの攻撃手段として機能する。
防御力・機動力
9A53-S多連装ロケット砲システムは、車体シャーシにミンスク自動車工場製軍用トラック「MAZ-543M」を採用している。これは、オフロードで20tの貨物を運搬可能な4軸8輪駆動トラックで、全輪駆動でタイヤ圧自動制御装置を備えており、このクラスの車両としては悪路走破性はかなり高い。キャビンは与圧式のNBC防護機能を備えており、2名の乗員は車外に出ることなく停車からの分以内に発射準備を整えられる。また、ロケット弾の発射炎からキャビンを保護するブラストシールドが備わっている。エンジンとして360馬力多燃料対応ディーゼルエンジンが搭載されており、整地であれば時速75kmで走行することが可能である。燃料無補給での航続距離は800kmである

輸出

モドヴィリカ自動車工場は2022年の兵器展示会にて、これらを輸出する意向を示している。

派生型

  • 9A52-4
新開発の高機動性と高い攻撃力を有するタルネードの基本型車両。そのスペックはHIMARSに匹敵すると言われており、スペック上では機動力、攻撃力でハイマースを上回っている。
  • 9A53-G
BM-21グラードの改良版
  • 9A53-U
BM-27ウラガンの改良版
  • 9A53-S
BM-30スメルチの改良版

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