架空国家を作ろう　第1.1世界線

ソビエト連邦の医療は、保険料納入を伴わない国庫負担による社会保障化が行われており、国民は無償で医療サービスを受けることができるユニバーサルヘルスケアが実現されている。政府の成長戦略によるバックアップの下、主要研究機関が主導して様々な医療研究を行っている。しかし、医薬品・医療機器の高度化で国庫からの支出は増加する一方で、富裕層に対しての保険料導入など国庫負担の軽減に努めている。
ソ連の医療制度の特徴として、「国民皆保険制度」、「柔軟性の高い医療構造」、「広域な国土に特化したサービス提供」がある。医療保険は1936年ソビエト連邦憲法にて、無償医療の権利がソ連人の基本的権利と確認されている。民間が提供する医療保険もあるものの、保険料の支払いが必要になるためあまり加入されていない。
医療機関は国立・公立・私立それぞれ存在している。私立が開放されたのは1990年代からで、検査機関の指導の下で私立はサービスを提供している。
国家が負担する国民医療費は、7168億ルーブルである。医薬品や医療機器が高度技術化するにつれ、医療費が肥大化しており、社会保障費に影響を与え始めている。

ソ連の平均寿命は76歳であり、健康平均寿命は73歳である。経済停滞期と比べれば遥かに上昇している。ソ連人の死因として、アルコール中毒、ストレス、喫煙が主な要因である。死亡率は1990年代と比べて著しく低下しており、42%から4%まで下がっている。しかし、自殺率は世界で最も高い国であり、毎年5万人以上が自殺によって死亡している。もっと酷い時、2008年では8万人を突破していた。ソ連人のアイデンティティ的に、自殺率の改善は難しいと思われる。

ソ連の医療保険は、国家によって国家医療保険制度が運用されており、強制加入となっている。
民間医療保険もあるものの、国家医療保険制度に対してこれは保険料を伴うため、あまり使われていない。

医療事故が発生した場合は、管轄の省庁による調査委員会の設置で必要な調査が行われる。医薬品・ワクチンの副作用による被害についてはソ連保健省が提供する医薬品副作用被害救済制度が存在する。

病院は国・公・私を合わせて15,600以上、一般診療所は376,800以上存在する。保健省は、広域な国土の隅々まで医療サービスをしっかり提供するべく、全市民を居住地域ごとの医療機関に振り分け、総合病院、部門別病院と国公立の一般診療所を配置した。自由開業医制を取り入れており、診療所に関しては法令に基づく設置基準を満たし、検査機関による指導の下で自由に開業できる制度で、一部地域では民営のクリニックが存在する。これらは1936年には完成しており、患者は順番に診療所→総合病院→症状が重篤である場合は専門の医療機関に搬送される仕組みが築かれていた。部門別病院制度の確立で、それぞれの病院があらゆる職務に就く労働者に医療を提供することができる。
また、ソ連の医療は治療だけでなく予防にも注力した。主に性病、アルコール依存症、がん、結核に特化した診療所が広範囲に設置されており、これらの施設は患者の治療だけでなく、日常生活の健康観察を行うことで彼らが他人に及ぼし得る脅威、感染の拡大等を未然に防止する体制が構築された。普及していた予防策にはワクチン接種もあり、子供から大人、老人に至るまで予防接種は強制であった。予防接種を受けていない場合は就職できない場合がよくある。ワクチンについては厳格な検査を通して保健省の安全基準を満たした上で使用される。副作用が開示されていない、臨床試験無しに配布等が発覚した場合、調査委員会による厳しい処罰を受ける。

大祖国戦争の際、このような医療構造を構築したおかげで医療サービスは負傷兵の72%と病兵の90%、計1700万人を救済した。

さらに、サナトリウムや保養地(リハビリ施設)も医療構造の一部であり、サナトリウムは医療提供の延長線上にあり、一方で保養地はリハビリ施設として大祖国戦争や歴々の戦傷兵に対し大きな役割を果たした。

広大な国土であるソビエト連邦では近年になって道路網が大きく発達し、救急車の台数も飛躍的に増大した。それと同時に、より広域で完璧な救急医療体制を提供するべく、救急ヘリコプターも飛躍的に増大されている。この国の地理は複雑で気候条件も多様で厳しく、救急車ではアクセスが困難な地域が必ず存在しており、病院・診療所も隅々まで設置するには限界があり、そういった地域に対してはいかに迅速に救急医療サービスを提供できるかが求められている。

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