架空国家を作ろう　第1.1世界線

輸送艦くろしおは、大神国が北島衛戍地内の武器解体局へ旧陸軍が運用していた毒ガス兵器約670キログラムを台北駐屯地の航空部隊から輸送していた。この毒ガス兵器は「アメノオオカミ」と呼ばれ、気化しやすく且つ1.2グラムの気化したこの毒ガスを吸引するとほぼ確実に死に至る兵器であった。
従来であれば火災も発生しておらずまだ乗組員が艦内に残っているので、救助活動を行った後自沈処分or回収を行う対策をところであるがこの毒ガスが非常に強力で大神国が保有する対毒ガス兵器では対応しきれない可能性があるのと、救助に入ろうとした隊員も犠牲になる可能性があるのと「くろしお」の乗組員のほぼすべてが死亡している可能性が高いことから、大神国詔勅第2300号においてこれを大神国海上自衛部の機密が確保されている艦艇が太平洋公海上に移動させそのまま大神国の艦船と重爆撃機であるKB-54爆撃機によるサーモバリック誘導弾と艦砲射撃によってこれを雷撃処分に処すことが決定した。

毒ガス兵器「アメノオオカミ」は、空気に触れて気化すると有害化する。また、粒子が非常に軽いため非常に風に流されやすく極めて広範囲に影響を及ぼした。
当時台湾領付近は快晴で台湾沿岸部に向かって多くの気化した毒ガスが流れ、台北市をはじめとする神国沿岸部の都市で少なくとも43名の死者が出たものとみられている。
また、台北には多くの外国人が居住しているため英国をはじめとした多くの外国人が死に至った。
キリスト教の教えでは「土葬すること」が理想的だとされているがこの毒ガスはこういった特性があるため納体袋からださずにそのまま荼毘に付すことが望ましいとしており、諸宗教団体から大きな批判が来ている。

くろしおは、有毒なガスを放出し続ける可能性があるため、早期に人口密集地から遠ざける必要があった。また、酸素ボンベを着装して救助活動にあたろうにも艦内には立ち入ることができなかった。
また、致死性が非常に高い毒ガスの発生源であるくろしお乗組員の生存の可能性が極めて低く救助の価値無しと判断された。このため、太平洋上の公海(マリアナ海溝の最深部)にて沈没処分とすることが決定された。方法として毒ガスの飛散を避けるため水を消防船でかけ続けながら曳航するというものであった。
これには、台湾鎮守府の輸送艦二隻と同消防船五隻が動員された。34時間後沈没海域に到達するとトケラウ飛行基地より飛来したKB-54重爆撃機が4発の800ポンド爆弾を投下。全弾命中し沈没していった。
このとき、KB-54重爆撃機は現場空域を三周して帰還していき、曳航していた輸送船と消防船は汽笛を鳴らしたうえで全乗組員が敬礼を行ったという。

事故の原因を調査するためにPIPPSS信号で台湾鎮守府に送信され続けていた艦体の自己診断システムのデータを精査した結果エンジン系統を管理しているシステムの不具合であったことが判明した。これは、エンジン出力を調整するシステムが右側エンジンの出力を0にして左側エンジンの出力を最大にするというエラーを起こしていた。
これにより舵による制御もままならず座礁現場まで進んで座礁した。
三十五ノット(約70km/h)程度の速さで座礁しておりこれにより船体下部が岩によって大きく削られそれはタンクに亀裂をもたらすには十分なものであった。
この亀裂から大量の毒ガスが流れ出したと見られている